名古屋大学の研究チームは2024年5月に起きた大規模な太陽活動で、電荷を帯びた粒子（プラズマ）が放出される「太陽嵐」を捉えることに成功した。太陽嵐は地球上でオーロラや通信障害を引き起こす。太陽活動の影響を予測する「宇宙天気予報」の精度向上に役立つ。
名古屋大の岩井一正准教授が10日、日本天文学会の記者会見で研究成果を説明した。11日から関西学院大学で始まる日本天文学会の秋季年会で発表する。
太陽は「太陽フレア」と呼ばれる爆発現象を起こし、これによって太陽嵐が生まれる。地上への影響を正確に予測するには、太陽嵐の規模や、地球への到達時期を事前に把握する必要がある。ただ、太陽嵐は宇宙空間を伝わるため、観測や予測が難しい。
研究チームは太陽嵐が周囲の電波に揺らぎを与えることに着目した。国内3箇所にある電波望遠鏡で太陽系外にある天体から来た電波の揺らぎを観測し、太陽嵐の状況を把握した。5月の太陽フレア発生時は平常時と比べて、電波の揺らぎが観測される天体が数倍多かった。今後、太陽嵐を従来の10倍の精度で観測できる機器の設置を計画する。
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