NTTドコモは31日、金沢市のシェアサイクル事業「まちのり」でAI(人工知能)を使って自転車の再配置を効率化するシステムの実証実験を始める。市内に70カ所以上あるポート(駐輪場)の利用者の需要を予測し、自転車を効率的に再配置するためのルートを生成する。同システムは東京都内で導入事例があるが、全国展開に向け東京以外でも役立つか検証する。
まちのりは金沢市が2012年に始めた。ドコモ傘下のドコモ・バイクシェア(東京・港)が協力しており、同社のアプリで自転車が借りられる。兼六園などの観光地やビジネス街にポートがあり、23年度の利用者数は前年度比18%増の約29万8000人。金沢市は25年度に台数を現行比4割増の700台、ポートを3割増の100カ所とする計画を掲げている。
シェアサイクルでは借りた場所と別の場所で返却できるが、特定のポートに自転車が集中するといった課題もある。限られた台数を多くの人が利用するには、ポートの需要に応じて自転車を配置する必要がある。再配置業務はシェアサイクル事業の運営コストの中で比重が大きいとされ、採算確保には効率化が欠かせない。
ドコモは23年4月に再配置の最適なルートを生成するシステムを開発した。過去の利用実績や曜日、時間帯、天気予報などをAIが学習し自動で各ポートの需要を予測する。再配置の担当者はAIが需要予測に基づいて生成したルートに従って自転車数の調整をすればよいため、業務効率化につながる。
ドコモ・バイクシェアが東京都内で運営するシェアサイクル事業で導入している。将来的に多数の都市の導入を想定し、従来のシステムよりも低コストでAIが需要予測を算出できるようにした。ポート数や位置関係、再配置に投入できる人員などが異なる金沢市でもシステムが有効か調べる。
シェアサイクルは全国で広がっている。国土交通省によるとシェアサイクルの導入都市は22年度末に300を超え、5年間で2倍以上に増えた。ポート数は10倍超の1万666カ所となった。ドコモはシェアサイクル拡大に応じて増える再配置業務の効率化の必要性が高まると見込む。
実証実験の期間は31日〜2025年3月末。ドコモ・バイクシェアのほか、自転車の再配置を担当している日本海コンサルタント(金沢市)が参加する。ドコモは「全国のシェアサイクル業務を人に頼らず実施できるような仕組み作りを目指す」としている。
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