TIはGaNパワー半導体の生産能力を4倍に高めた(TIの会津工場)

米テキサス・インスツルメンツ(TI)は10月から、会津工場(福島県会津若松市)で新素材の窒化ガリウム(GaN)を用いるパワー半導体の量産を始めたと発表した。電気自動車(EV)の車載充電器やデータセンターのほか、スマートフォンやパソコン向けの電源機器に搭載され、電圧を制御する。米テキサス州の増産とあわせ、生産能力は従来比4倍に増えた。

パワー半導体はシリコン製が主流だが、電力損失が少ない新素材の採用が進む。EVに搭載すれば車載部品をこれまでよりも小さく軽くでき、航続距離も延びる。TIはテキサス州ダラスでGaNパワー半導体を生産していたが、需要増に応えるため新たに会津工場を稼働させた。

TIはGaNパワー半導体を他の半導体と組み合わせ、顧客の需要に応じて提案販売する戦略をとる。それぞれの半導体はTI側で動作検証を済ませているため、顧客は製品開発の時間や費用を減らせる。TIは供給安定化のため、2030年までに半導体の内製化率を95%以上に高める戦略を掲げる。外部への生産委託を減らし、自社工場で増産を進める。

会津工場はもともと米メモリー大手のスパンション(現・独インフィニオンテクノロジーズ)が携帯電話向けの半導体を生産していたが、10年にTIが買収した。現在はGaNパワー半導体のほか、車載や産業機器向けの半導体を生産している。

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