文部科学省は国の基幹スーパーコンピューター「富岳」の後継機の開発を早ければ2024年度中に始める。29日に閣議決定した24年度の補正予算案に関連費用として約69億円を盛り込んだ。補正予算が成立すれば、25年度としていた開始時期を早め、システム開発や施設整備に着手する。30年ごろの運用開始に向けて開発を加速させる。
ポスト富岳は理化学研究所が主体となって開発する。人工知能(AI)を活用した科学研究の発展に対応するため、従来のシミュレーション(模擬計算)に加えて、AI向けの計算でも世界最高の性能を目指す。
理研は今後、ポスト富岳を共同開発する相手を選ぶ。補正予算が成立すれば、24年度中に基本設計の検討に入る。開発には国内企業だけではなく、海外も含めた複数企業が参画する可能性が高い。富岳を共同開発した富士通のほか、米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディア、インテルなどが候補として有力とみられる。
文科省は24年度補正予算案に、富岳の周辺機器や冷却設備の更新費用として約19億円も盛り込んだ。富岳は11月に発表された世界のスパコンの計算速度を競う最新ランキングで順位を4位から6位に落としている。
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