リーガルAIの音声生成AU「声マネくん」は10秒間のサンプルで酷似した声が作れる(同社提供)

人工知能(AI)スタートアップのリーガルAI(東京・港)は5日、音声を出力する生成AIから声の持ち主の権利を守る「肖声権」を保護するシステムを構築すると発表した。声の利用を認可・管理するシステムを整備し、商業利用時に収益を配分する仕組みを導入する。現在特許を出願中で、2025年にも実用化を目指す。

リーガルAIは音声AIサービスを開発・提供しており、AIのキャラクターがAI音声で観光案内を行う「HARUKA.AI」や、10秒の音声サンプルから声の特徴を学習し再現する「声マネくん」などを手掛ける。

音声AIを巡っては、声優の声が無断で学習に使われ酷似した音声が出力される権利侵害や、本人になりすます「ディープフェイク」の被害が懸念されている。リーガルAIは、声の持ち主が他人から無断で声を学習されたり、無断で利用されたりされない権利を肖声権と位置づけ、権利保護のシステムを開発する。

具体的には、まず著名人や声優らがオリジナルの音声をシステムに登録してもらい、NFT(非代替性トークン)の仕組みで同じ波長の音声を追跡できるようにする。本人が学習を許可した音声AIサービスには認証をつけることで、許可しないAIやディープフェイクを検知できるようになる。

自分の声が使われたAIに対し、収益の分配を求められるようにする。システムに「暴力的なセリフは認めない」などの情報も付随させ、意図しない利用も防ぐ。リーガルAIの渡部薫社長は「故人や声を失った人の声を再現したり、声優の権利収入につなげたりといった、音声AIの適正な利用に貢献したい」と話している。

【関連記事】

  • ・アニメ声優が多言語で音声ナビ AI新興と青二プロ提携
  • ・OpenAI「人並み会話」音声AI技術、顧客企業に提供開始
  • ・ChatGPT、会話の「間」0.3秒に 人間味増し悪用リスクも
  • ・音声AI、学習用データを管理へ 事業者や声優らが新団体

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。