夏休みの旅行や帰省に向け、高速道路での移動を予定している人も多いだろう。そこで知っておきたいのが、トラブル時などに役立つ高速道路の救済措置。万一の場合も安全&お得に高速道路を利用できる裏ワザは覚えておいて損はない。

文/井澤利昭、写真/写真AC

■バックやUターンは厳禁! 目的のインターで降り損ねたら?

インターチェンジを知らせる標識を見過ごしたり、書いてある情報が多すぎて読み取れなかったりと、本来降りるはずの出口を通り過ぎてしまうというのは高速道路ではありがちなトラブル。Uターンや逆走は絶対にせず、焦らず次のインターチェンジまで走り続けよう

 初めて利用するルートでの走行や、高速道路を走るのが久しぶりというドライバーがついやってしまいがちなのが、本来降りるはずである目的地で降り損ね、出口であるインターチェンジを通り過ぎてしまうというミス。

 そんな時まず心しておきたのが、降りるはずのインターを通り過ぎたことに気がついたからといって急ブレーキをかけたり、バックやUターンで戻ろうとすることは絶対にしないこと。

 「ほんの少しの距離だから……」とバックしたり、Uターンしての逆走は非常に危険な行為で、後続車との衝突など、他のクルマを巻き込んだ死亡事故の原因にもなりかねないからだ。

 万一、目的の出口を通り過ぎてしまった場合は、慌てず焦らず落ち着くことが肝心。対応策があるため、次のインターチェンジで高速道路を降りるようにしよう。

 次項ではその対策法を具体的に紹介しよう。

■「特別転回」で本来降りるべきインターへと戻ることが可能!

 目的地のひとつ先のインターチェンジで降りたら、料金所では必ず「一般」または「ETC/一般」レーンへと進入する。

 またここで気をつけたいのが、高速道路進入時にETCを利用している場合、「ETC/一般」レーンにそのまま進入してしまうとそこまでの金額で清算が完了してしまうため、事前に車載器からETCカードを取り出しておく必要がある。

 料金所でクルマを止め、係員に目的のインターチェンジを通り過ぎてしまった旨を伝えれば、そのインターの方向へと戻れるように誘導してもらえる。

 係員がいない料金精算機が設置されている料金所の場合は、係員呼び出しボタンを押せば、同じように対応してくれるはずだ。

 目的地であるインターチェンジへと無事到着したら、再度係員のいる「一般」または「ETC/一般」レーンへと進み、ひとつ先のインターから戻ってきたことを申し出れば手続きは完了。

 この救済措置を「特別転回」といい、間違えて走行してしまった区間分の料金は発生せず、目的地までの料金のみで清算が可能となる。

 ただし、この「特別転回」は係員の誘導が必要となるため、最近増えてきているスマートICでは利用できない。

 また首都高や阪神高速など一部道路や、構造上「特別転回」ができない料金所などでは対応していないこともある。

 繰り返しになるが、目的地のインターチェンジを通り過ぎてしまったからといって、自己判断によるバックやUターンでの逆走は絶対にやってはダメ。

 大きな事故を未然に防ぐためにも、万一インターを降りそこなった場合は慌てず、「特別転回」のことを思い出そう。

■通行止めによる高速道路への再進入で損をしないためには?

 高速道路の料金は、一定の距離以上を降りずに走り続けたほうがお得になる「長距離逓減(ていげん)制」が適用されている。

 では、工事や事故などで通行止めとなった区間の手前にあるインターチェンジで高速道路をいったん降りる必要に迫られ、一般道を走行後、通行止めが解除された区間のインターから再度乗りなおした場合、先ほどまでの長距離逓減は途絶えてしまうのだろうか?

 そんなケースで適用されるのが「高速道路を再度乗り継いだ場合の料金調整」だ。

 現金での支払いの場合、まず通行止め区間手前のインターチェンジで高速道路を降りてそこまでの通行料金を支払い、いったん清算を済ませる必要があるが、その時忘れてはいけないのが「高速道路通行止め乗継証明書」を受け取ること。

 いったん降りた料金所で、通行止めが解除された先のインターから再度高速道路を利用することを係員に伝えると発行されるもので、係員のいない自動料金精算機でも受け取ることが可能だ。

 その後、通行止めが解除された先のインターで通常通り「入口通行券」を受け取り、最終的な目的地となるインター出口で係員に「高速道路通行止め乗継証明書」と「入口通行券」を一緒に渡せば、所定の計算式で算出された調整料金が適用される。

 ちなみに係員がいない自動精算機では、「高速道路通行止め乗継証明書」を先に入れた後に「入口通行券」を入れないと調整料金が適用されないので、順番を間違えないように気をつけよう。

 また、冬用タイヤ規制時のタイヤチェーン不保持などによる通行不可は、その対象とはならないので注意。

 なお、ETCを利用している場合は、同じETCカードで通常通りETCレーンを通行すれば自動的に調整料金が適用されるので、ドライバーは特に何もする必要はない。

 出口での料金表示は調整なしの通常料金となってしまうが、クレジットカード会社からの請求段階で調整料金が適用されるので安心してほしい。

 知っていると知らないとでは、大きく違ってくる高速道路の救済措置。安全かつお得にロングドライブを楽しむために知っておくのはもちろん、クルマを運転する家族や友人がいるならぜひ教えておきたい。

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