クルマも人間と同じように歳を重ねれば、周りの環境や時代の変化に対応しながら、程度の差はあれ変わるもの。しかしいくらなんでも変わりすぎなんじゃないのというクルマだって存在する。本稿ではそんな10台をご紹介する。(本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部

■トヨタ カローラFX→オーリス

初代カローラFX…初代は当時増えつつあったFFに移行した
現行オーリス…最近珍しいMTの設定もあるのだけど……

 現行オーリスの先祖にあたるカローラFXはスポーティな性格のハッチバックだった。

 カローラランクス/アレックスを経て、オーリスになったが少々ボディサイズが大きすぎ。全幅は初代の1635mmから現行は1760mmまで拡大。

 そう思うとやっぱりカローラFXのスポーティさはよかった。現行オーリスはゴルフがライバルらしいけど、ちょっと背伸びしすぎかも。もう一度、日本向けに原点回帰してみては? と提案したいぞ。

●初志貫徹度=70

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■日産 ブルーバード→シルフィ

初代ブルーバード…初代ブルのニックネームは「柿の種」だった
現行シルフィ…清潔感あるスタイルは魅力的だけど……

 コロナがライバルだった初代。1967年登場、3代目の510型からはスポーツセダンという立ち位置で生きてきた。

 それがシルフィとサブネームが付いた頃からおじさん向けになり、それでも5ナンバー幅は守っていたのに、現行シルフィときたらとうとう輸出中心の3ナンバー幅になりおった。

 今までブルーバードに乗ってくれたお客さんにどう顔向けするんじゃ! 開発当初から日本向けは考えていなかったそうだが、途中から販売することになったという。

●初志貫徹度=60

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■ホンダ アコード(初代→9代目)

初代アコード…丸目ライトが上品な初代アコード
新型アコード…ハイブリッドのポテンシャルは期待できる!

 初代は元々シビックの兄貴分として登場。

 1993年登場の5代目は北米中心の3ナンバーボディとなったものの、1997年登場の6代目では日本向けは5ナンバーボディに回帰するも1902年登場の7代目以降再び3ナンバー化。

 さらに現行モデルはクラウンより大きいサイズとは、もう初代の影も形もない。ハイブリッドの出来はいいのだから、初代を見習って日本向けはダウンサイジングしてほしかった。

●初志貫徹度=55

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■マツダ ファミリア→アクセラ

初代ファミリア…初代ファミリアはバン以外にクーペとセダン
現行アクセラ…今年のフルモデルチェンジでもサイズは変わらない模様

 マツダ初の登録車として1963年に生まれた初代の最初期はバンだった。

 途中、波はあったが9代目までは5ナンバーサイズを貫いてきた。1903年、アクセラに名前が変わった途端に親会社のフォードとの関係もあって3ナンバー幅に拡大。

 走りのよさというDNAは現行も引き継いでくれているけど、もう少し扱いやすいサイズだったらねえ。

●初志貫徹度=50

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■日産 スカイライン(初代→12代目)

初代スカイライン…もはやこの初代から受け継いだものなし?
現行スカイライン…9月に登場する新型の全幅は1842mm

 10代目(R34型)までは一貫してほぼ日本専用のスポーツセダンとして生きてきた。

 それが1901年登場の11代目で元々別のクルマとして開発されたクルマが突然スカイラインになって輸出も始まり、もうひと目じゃスカイラインってわからないクルマになっちまった。

 ドライビングプレジャーっていう持ち味は継承しているが、9月に出る新型は全幅がさらに拡大!

●初志貫徹度=22

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■マツダ カペラ→アテンザ

初代カペラ…キャッチコピーは「風のカペラ」だった
現行アテンザ…ディーゼルへの人気集中が少し気になる

 マツダのミドルセダンとして1991~1994年クロノスに名前が変わった時期を経て、カペラは1902年アテンザになった。

 現行アテンザは世界最先端のディーゼルエンジンを積んで、走りを含めた初代のDNAは受け継いでくれているところもあるけど、全幅1840mmのワイドボディになったのは大きすぎ。

 初代はコンパクトで速く、風のカペラと呼ばれて、ロータリーも積んでいた。初代とはまったく違う。

●初志貫徹度=50

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■スバル レガシィ(初代→5代目)

初代レガシィ…ワゴンブームは初代レガシィが火付け役!
現行レガシィ…サイズが許容できればいいクルマなのだけど

 長年スバルの主力だったレオーネの後継車になるべく、完全新設計で1989年に登場したレガシィ。

 2代目から4代目はプレミアム性があったことでも評価された。でも、現行モデルは北米市場メインで設計。

 いまや初代レガシィの正統後継車は現行インプレッサといっていいだろう。

●初志貫徹度=22

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■三菱 ギャラン→ギャランフォルティス

初代コルトギャラン…後に2ドアのギャランGTOも追加された
現行フォルティス…5ドアセダンのスポーツバックも設定される

 初代ギャランはコロナやブルーバードの対抗馬、今風にいうならCセグメントのクルマとして生まれ、歴代モデルはスポーティさや室内の広さを売りにしてきた。

 でも、ギャランの名前は日本では一時期消滅してしまい、1967年ギャランフォルティスとして復活。しかし現行フォルティスはDセグメントカー。

 そもそも輸出先ではランサーで売っているクルマに、ランエボとの差別化でギャランの名前を使ったからしかたないかも。ラリーアートグレードもあって、スポーティさもある真面目なクルマなんだから、初志貫徹はしてないが頑張ってほしいゾ!

●初志貫徹度=40

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■トヨタ イスト(初代→2代目)

初代イスト…操安性や快適性も高次元だった初代イスト
現行イスト…当初最上級だった1.8Lは廃止された

 1902年に登場した初代イストはヴィッツの上級版、SUV風のスタイルが特徴のコンパクトカー。

 インテリアの質感や静粛性、ドアの開閉音なんかもヴィッツより1ランク上になっていて、そのあたりを評価してくれるお客さんも多くて予想以上に売れた。

 でも1907年登場の現行イストはアメリカで若者向けのクルマを扱うサイオンブランドで売られることもあって(初代の途中から)、コンパクトカーなのに3ナンバー幅となり、スタイルもなんちゃってSUV。変わりすぎじゃ!

 個性的なコンパクトカーが欲しい人は多いから、5ナンバーで復活を望みたい!

●初志貫徹度=40

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■トヨタ RAV4(初代→3代目)

初代RAV4…コンパクトで軽快な都会派SUV
現行RAV4……次期モデルはさらに大型化される見込み

 バブル崩壊後に、トヨタが「次はどんなクルマが求められるんだろう?」と模索していた時期に、乗用車ベースのスペシャリティなSUVとして生まれて、大当たりした初代RAV4。当時は新鮮だった。

 だけど、海外でも成功したことがよかったのか悪かったのか、モデルチェンジの度にドンドン全幅が大きくなったうえに、3ドアがなくなったこともあり、初代の面影は影も形もなくなっちゃった。やっぱり初代のあの軽快感はよかったねえ。

 新型RAV4は北米で販売開始されたが、さらに肥大化してしまったのは残念!

●初志貫徹度=40

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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