道路運送車両法での「乗車定員」の考え方は、大人1名=12歳未満の子供1.5名となっているため、大人2名が乗れる場所に子供は3人乗ることができる。しかし「シートベルトは?」「チャイルドシートは?」と疑問も多く出てくると思う。そこで今回は、自動車の乗車定員について考えていこう。
文:佐々木 亘/写真:AdobeStock(トップ画像=milatas@AdobeStock)
■あなたのクルマは最大何人乗れるのか?
まずは自分のクルマの乗車定員を知るところから話を進めていこう。イマイチ自信が無ければ、車検証を見てほしい。昨今、小さくなった電子車検証にも、乗車定員はしっかり記載されている。
軽自動車なら4名、コンパクトカーからセダンやステーションワゴンなら5名、ミニバンだと6~8名といったところか。この数字はドライバーも含めた人数なので、法律上で乗せることができる子供の人数は、「(乗車定員-1)×1.5」をすると計算できる。
小数点以下の端数が出た場合、全て切り捨てだ。すると4名乗車の軽自動車だとドライバー以外に12歳以下の子供が4名、5名乗車のセダンならドライバー以外に12歳以下の子供が6名乗れることになる。
ただ、実際に5人乗りのセダンに、12歳以下の子供を6名乗せるのは難しいだろう。助手席に1人乗せて、あとの5名は後部座席に乗ることになるが、きちんと着座できるかと言われれば「無理」と答えるしかないと思う。
それでも後席へギュウギュウに子供を詰めるのは、法律違反ではないのだが、これって本当にイイのだろうか。
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■シートベルトやチャイルドシートの義務はどうなる?
シートベルトの装着は前席でも後席でも義務である。一般道であろうと高速道路であろうと装着しなければならない。ただし、道路交通法を読んでいくと、シートベルトの着用義務が免除される規定があった。それは「やむをえない場合」である。
なんとも曖昧なこの書き方。病気などでシートベルトをつけられない場合はもちろんだが、そもそもシートベルトが足りない(無い)場合も、この「やむをえない場合」に入るのだ。
6歳未満の子供をクルマに乗せる際に義務付けられているチャイルドシートの使用も、シートベルトと同様に「やむをえない場合」には設置・装着義務を免除される。
ただし、シートベルトを装着しない子供や、チャイルドシートに乗れなかった子供が、事故時に大きなリスクに晒されるのは明白だ。法的にはOKであっても、乗車定員数以上に子供を乗せるのはNGと考えるのが、大人の責務であろう。
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■安全を考えれば乗車定員数よりも人が乗れないケースもある
乗車定員に関する規定ができたのは、現在のようにシートベルトの装着やチャイルドシートの設置・利用が義務化される前のことだ。この規定は、法律が実情に則していない、最たる例だと筆者は考える。
チャイルドシートを設置したことのある人ならわかると思うが、そもそも後席にチャイルドシートを2つ置いた時点で満席状態。3人がけのセダンの後席に、子供2名が乗って終わりになる。この場合、5人乗りのクルマであろうと実質的には、大人2名・子供2名の4人乗りで手一杯なのだ。
死傷事故の抑止をするべく社会全体が動いている現代において、大人1名=子供1.5名という法律的定義は、悪に働くことの多いグレーゾーンを作り出すだけ。こうした条文を残しておくと、いつまでも大人の膝の上に乗せられた乳幼児が、事故で悲惨な目に遭う状況を無くすことはできないと思う。
時代遅れの法律は、速やかに改正すべきだ。良識あるドライバーの皆さんは、シートベルトの数や、設置すべきチャイルドシートの数に合わせて子供を乗せて、安全・安心できるドライビングに努めていただきたい。
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