2023年のジャパンモビリティショーで公開されたホンダ N-VAN e:。今後激戦区になっていくであろう軽商用EVのカテゴリーに、そのN-VAN e:が正式デビューした。ガソリンモデルであるN-VANからどこが変わった? 試乗でチェックした!!
※本稿は2024年9月のものです
文:片岡英明/写真:奥隅圭之、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
■軽商用EVがホンダから登場
2023年秋のジャパンモビリティショーで注目を集め、発売が待たれていた軽商用EVのホンダ N-VAN e:が正式デビューした。ベースとなっているのはガソリンモデルのN-VANだ。が、EVならではの新装備などを加え、魅力的に進化させている。
まず小手調べにガソリンモデルのN-VANに乗った。ターボ車だったから走りは力強い。3名乗車でもピューンと軽やかな加速を見せ、クルージング時は静粛性も充分だ。
商用車で背が高いから足を引き締めているが、舗装のいい路面なら乗り心地も予想以上にいい感じ。走りの点数は高い。
そしていよいよN-VAN e:だ。
最初の感激は乗用車のようにメインスイッチがプッシュボタン式を採用していたことだ。また中央の操作しやすい位置にホンダ軽自動車初のエレクトリックギアセレクターを装備し、操作性もよかった。
車両重量は同等仕様のガソリンターボに対し170kg重くなっているが、モーターは1.6Lエンジンなみの最大トルク(16.5kgm)を瞬時に立ち上げるから、力強い加速だ。
特に差をつけたのは小さなRの登りコーナー。ターボ車はひと呼吸置いて加速するが、EVは“シュー”っと気持ちよく駆け上っていく。さらに、加速した時の静粛性も大きな差を実感した。
そしてもうひとつ、乗用車レベルの快適な乗り心地にも驚かされた。
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■車重増加を感じさせない安定した操縦性
ハンドリングのよさも特筆できるところだ。重いバッテリーをフロア下に敷き詰め、重量バランスもいいから優れた接地感を身につけ、乗車人数や荷物の多少にかかわらず安心感がある。
さすがに大きな段差ではショックの吸収に物足りなさを感じるが、商用車としては合格点だ。電動サーボと13インチタイヤの採用により容量を大きくしたブレーキフィールも評価できる。
N-VANは広くて使いやすい室内空間が売りだが、EV化しても変わらない広さと優れたシートアレンジを維持した。床下にバッテリーを搭載しながら室内高を維持するのは開発時の大きな苦心点だったという。
リモート充電や給電機能など、EVとしての魅力も満載する。コイツは小さな巨人だね!!
●ホンダ N-VAN e:のポイント
・室内空間はガソリンエンジンのV-NANとまったく同じで、シートアレンジも同じ
・モーターは最高出力64ps、最大トルク16.5kgmを発揮
・インパネやドアトリムはガソリンエンジン車とは異なる専用デザインを採用する
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