先日、駅に向かうのに家を出るのが遅くなってしまったので、都営バスにのって挽回しようとした。バスは遅れずに来たのだが、すぐに満員になって乗る事が出来なかった。待って次のバスに乗ろうとしたが、またしても同じ結果に!満員の電車やバスに乗車しているときにはボーっと広告に目が行っていることがある。このバスの広告で意外な発見をすることがある。

文/写真:長内麻子(四柱推命認定講師)
共著/編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■満員は辛いが積み残しはもっと辛い…

普段は便利な路線バスだがラッシュ時の満員バスは辛い…

 バスが満員で2連続積み残し…!もはや歩いて行った方が早かったという経験は都市部ではよくある話だ。遅刻はご免なので、走って駅に向かったのだが、乗れなかったバスが次の停留所で追いついてきた。しかし誰も降車をしなかったので「満員なので通過します」というアナウンスがありバスの扉は開かなかった。

行列に並ぶ価値アリ?

 ラッシュアワーというのはどうも電車に限った事ではないようだ。恐るべし通勤時間帯!ちょっとした驚きの体験談を語らせていただいたのだが、運良く乗れてもスマホを手にする空間はなく、ボーっと広告に目が行く。

 皆さんはバスの交通広告はお好きだろうか?印刷物やモニターでの広告もあるが、バスならではのものに停留所のアナウンスに付随した音声による広告がある。停留所に停まるまでの短い間に伝えたいことを盛り込まなくてはならないので、なかなかによく考えられているし、何しろ味わいがある。面白いなと思いついつい耳を傾けてしまう。

■バスの交通広告は結構気になる

バス停や車内や車内放送にまで広告が埋め込まれている

 今回は都営バスの白61系統または池65系統の下落合四丁目停留所前にある「スターフルーツ」に行ってみた。練馬方面に向かうバスで「次は下落合四丁目。安くて新鮮、主婦の味方スターフルーツ前でございます。」と広告が入るので迷うことの方が難しい。名前そのままで、フルーツと野菜を取り扱う八百屋さんだ。

■「目白」と呼ばれる一帯が広すぎる!

同じ地域名で区が入り乱れることは東京あるある?

 「下落合」は新宿区にあり、この辺りの物件はだいたい「目白」という名前がつく。サングラスがトレードマークの大物タレントが、アナウンサーとその土地に詳しい人に案内されながらぶらぶらと散策する某テレビ番組でも紹介された。

 「目白」と呼ばれる一帯は、下落合の他、豊島区目白、豊島区高田、豊島区雑司が谷、文京区目白台までを含み、ものすごい広さだ。ちなみに文京区目白台は田中角栄元総理の邸宅があり、現在は田中真紀子氏が住んでいる。

■「目白」という地名は「目黒」と似ているが実は関連がある!

目白と呼ばれる一帯は広い

 「目白」の地名は、江戸時代に徳川三代将軍家光によって江戸を守る五色不動(目青、目赤、目黄、目白、目黒)のひとつ「目白不動尊」が「金乗院」(こんじょういん)に祀られたことが一説とされる。「目黒」の由来も諸説あるが「目黒不動尊」によるものだ。

東京五色不動の一つ金乗院慈眼寺

 「青、赤、黄、白、黒」と聞くと四柱推命や漢方に詳しい方ならあっ!と思う色である。五行思想という言葉をご存知だろうか?古代中国で発祥した考え方で「この世の万物は木・火・土・金・水のエネルギーでできている」という考え方だ。「もっかどごんすい」と言ったりもする。

 私が占いに用いている四柱推命もこの五行思想がベースとなっている。(生年月日(暦)も五行で表すことができ、そこからその人の性質や運勢を読み解く。)元の話に戻すと、青は木、赤は火、黄色は土、白は金、黒は水のエネルギーでできている。

高田総鎮守の氷川神社

 赤が火なのは想像しやすいが、黒が水なのはなかなかに驚きの面白さだ。ちなみに味は酸味が木、苦味が火、甘味が土、辛味が金、鹹味(かんみ・塩味のこと)が水となる。穀物や野菜なども全て五行に分けることができる。

 厳密に言うと五行だけではないが、体質に合わせた五行を口から取り入れるのが、漢方だったり薬膳だったりする。四柱推命の健康運も五行の過不足で鑑定する。少し占い師らしい話をしてみたが、五行説と陰陽道が融合したものが歴史で習った試験に出る陰陽五行説である。

■付近も観光地いっぱい

都営バスにも都電荒川線にも鬼子母神前

 「金乗院」は、都営バス白61系統「鬼子母神前停留所」を下車して「宿坂」(しゅくざか)を下ったところにある。この辺りは急坂がたくさんあり、「宿坂」の隣の「のぞき坂」は傾斜が22%ある激坂だ。ちなみに「のぞき坂」は新海誠監督の映画「天気の子」にも登場する。

 比較的、「宿坂」は緩い坂だが、坂の上り下りはちょっと…という方は、バス停から少し歩くが都電に乗り継ぐと良い。「鬼子母神前」電停から「面影橋」まで早稲田方面へ1停留場乗ると、坂はかなり回避できる。停留所も都電の停留場も同じ「鬼子母神前」なのに少し離れている。

 どちらかというとバス停留所は「鬼子母神前」というよりは「雑司が谷駅前」ではないかと思うが、同名の方が乗り換えは迷わないだろうし、路線が引かれた歴史的な経緯があるのかもしれない。

真言宗の寺院である南蔵院

 「金乗院」は弘法大師ゆかりのお寺だが、近隣に同様の「南蔵院」というお寺もある。また「高田總鎭守氷川神社」もあるので足を伸ばしてみるのもおススメだ。春は神田川沿いの桜が綺麗なのでそちらも是非見ていただきたい。

■なぜか上野のご婦人たちの話題にのぼる「スターフルーツ」

時には行列もできるスターフルーツ

 「目白にね、すごくフルーツが安いお店があるのよ!」ある日、上野でご婦人2人が談笑していた。店名が思い出せないようで、長いことああでもないこうでもないと話しているのを聞き、居ても立ってもいられず、お節介ながらつい声をかけてしまった。

や、安い!

 定休日や最寄りのバス停も聞かれ、すっかり話に花が咲いた。それにしても目白から遠く離れた上野でスターフルーツの話を聞くとは…スターフルーツ人気恐るべし。ちなみに定休日は水曜日だ。スターフルーツの人気はいかほどか?時に開店前から行列ができている事がある。衝撃価格の目玉商品が並ぶことも。

 筆者も栃木県産のいちごや山形県産のさくらんぼを1パックを298円で購入したことがある。名の通った、ブランドとも言えるようなフルーツなども取り揃えており、こちらも通常の価格よりかなり安いような気がする。大きな店ではないが、フルーツや野菜の他に、肉や缶詰、乾物やお菓子なども所狭しと並んでおり、お宝(掘り出し物)を探し出すような楽しさがある。

これはブランド品!

 また、コストコフェアなどの開催もあり、それもまた楽しい。日本はどんどん物価高になっているが、こういうお店もあると非常にありがたい。交通広告にもあるように本当に「主婦の味方」だなと思うばかりだ。近隣には、最近飛ぶ鳥を落とす勢いのディスカウントスーパー「OKストア」もある。高級住宅街で知られる目白だが、意外と暮らしやすい街であるとも言える。

■目白の行列店つながり

エーグルドゥース

 目白で行列ができる飲食店といえば、パティスリーの「エーグルドゥース」、ラーメン屋の「丸長」(「まるちょう」と読む。)あたりが有名だ。どちらも行列損にならないのでおススメ。「エーグルドゥース」はテイクアウトのみでお店で飲食ができないので、持ち帰って家でおいしいケーキに舌鼓を打っていただきたい。

丸長

 目白駅で紙袋を持っている人をよく見かけるが、わざわざ行く価値はあるお店だ。 そして「丸長」だが、ラーメンの行列店というと店主が怖かったりローカルルールが厳しかったりするのではないか?というイメージがあるが、大将はとってもマイルドな印象。女性一人で入っても大丈夫な雰囲気なのが嬉しい。

バスマニアさんも食べ物大好きですか?

 「食べるのが好きな星」がある筆者なので、今回もやはり食べ物の話で締めるが、食べ物もバスも生活に密着しているものという意味では共通点がある。また、楽しい人生には欠かせないのも食べ物だ。

 本稿が豊かな暮らしとバスライフの参考になれば幸いだ。 交通広告で紹介している店にあえて行ってみるというのも、バスの楽しみ方としては面白いのではないだろうか?筆者も気になっているお店がいくつかあるので今後も広告に乗っかり行ってみたいと考えている。

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