廃棄処分されてしまう食器や放置され災害なども懸念される「放置竹林」など、身近にある出来事や問題を中高生のアイデアで解決を目指す取り組みが進んでいる。そこには若者らしい工夫もあった。

「ワレニッカ」学校から家庭へ

2024年4月末、長崎県波佐見町で開催された「波佐見陶器まつり」の会場に元気な中学生の声が響いた。

波佐見中学の生徒:波佐見町で使わなくなった給食食器を無料配布しています

給食食器の無料配布を行う波佐見中学校の生徒たち
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この日中学生たちが配っていたのは、町内の小中学校で使われていた波佐見焼の給食用食器だ。

その名も「ワレニッカ」。長崎県や町の助成を受けて工業組合と県窯業試験場が食器の開発を手がけた。「ワレニッカ」は一般的な陶磁器と比べて約3倍の強度を持ち、割れにくいというのが特徴だ。約3年ごとにデザインが一新されるため、役目を終えた食器の取り扱いが課題だった。 

波佐見中学校3年 給食委員長 盛 円香さん

波佐見中学校3年 給食委員長 盛 円香さん:給食センターに(食器が)たくさん余っているということだったのでそれはもったいない!と。陶器市のときに無料配布をしようと

受け取った人(北九州から):不用品をなくすために協力できればと。素晴らしい取り組みだと思う

受け取った人(長与町から):かわいい食器で割れにくい、と言われたので無料でいただいて申し訳ないけど、サラダを入れたりスープを入れられるお皿だったので使わせていただこうと

波佐見町では地場産業であるやきものを食のマナー向上につなげようと、2000年にすべての給食用の食器が波佐見焼になっている。

波佐見中学校3年 生徒会 岡村琳華さん:自分たちが日頃から使っている食器が皆さんにも使ってもらえるのでとてもうれしい

波佐見中学校3年 給食委員長 盛 円香さん:波佐見焼がこういった取り組みでもっと全国に広まっていったらうれしい

約100人の生徒たちが無料配布した給食食器は、まつり期間中で約6000枚にものぼった。またブースでは能登半島地震への義援金も集められた。

「もったいない」を商品開発に

高校生の「もったいない」アイデアもきらりと光る。

放置された竹林や廃棄されるトマトなど「もったいない」をいかそうと、長崎県内の高校生が新たな商品を開発した。

「尾曲がり猫」のサブレ

しっぽがくるんと曲がった「尾曲がり猫」のサブレ。

平和の象徴「ハト」がデザインされたキャンドル

平和の象徴「ハト」がデザインされたキャンドル。考えたのは長崎県立長崎北高校の3年生で、2024年5月に長崎市で発表会を開いた。発表会では身近に起きている課題を取り上げ、解決策のためのアイデアを発表した。

長崎北高3年 生徒:この写真を見てください。とても多くのトマトが廃棄されているという現状が分かってもらえると思います

発表会のテーマは「もったいないをいかす」だ。地域の課題の解決や活性化を目的とした授業の一環で生徒たちは農家を訪ねたり、問題などの現状を調べて1年ほどをかけて商品開発を進めてきた。

メロンパンダ

中が真っ黒の「メロンパンダ」。食用に加工された竹炭のパウダーを生地に練りこんだものだ。所有者の高齢化で放置されている竹林に目を向けた。

長崎北高校3年:人里近い放置竹林にイノシシなどの野生鳥獣がすむことで畑や耕作地を荒らし農作物に甚大な被害を及ぼします

商品化には長崎県の内外の企業や就労支援施設などの協力を得ている。

長崎北高3年 笹原凛太朗さん:皆で1つのものを作り上げていく感じがしてとても楽しかった。世の中で無駄になっているもの、簡単に捨てられているものをメロンパンなどを通して人々をもっと笑顔にできるようにしていきたい

さらに、イノシシの肉を使った味噌には二次元コードをつけて、アレンジレシピを紹介する。

長崎北高3年 坂口茜さん:(味噌は)お味噌汁という印象が強いのかなと思ったのでおかず味噌、という商品なのでアレンジをしていただきたいなと思って考えた

生徒が考えた商品は今後、県内の道の駅や土産物店などで販売され、2024年6月には長崎県庁で販売会が開かれる予定だ。日常にあふれた「もったいない」には、たくさんのアイデアが隠されている。

(テレビ長崎)

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