福島県内で相次ぐクマの目撃情報。会津地方から浜通りまで全域に渡っていて、2024年6月16日の目撃件数は、2023年の同じ時期の1.5倍にあたる237件に上り、自治体も住民も警戒を強めている。

<緊急的に行われた注意喚起>
6月17日午前7時、福島県郡山市の熱海小学校の前で呼びかけられた注意喚起は、クマの目撃を受け緊急的に行われた。
16日午後7時すぎにJR磐越西線の列車の運転手が線路を横切る体長約1メートルのクマを目撃。周辺では14日にも別のクマが目撃されていて、郡山市は子どもたちの安全を確保しようと警察と連携して警戒を続ける。
郡山市・園芸畜産振興課の坂口俊係長は「朝方と夕暮れ近くは、クマの活動が活発になると言われている。クマがいるかもしれないと思って、音を立てるなど対応していただければ」と話した。

<春先からクマの目撃が急増>
3月末には、会津若松市の東山温泉で大捕り物に。5月には、猪苗代町で道の駅の近くなど観光客が多く訪れる場所でも姿を現わしているクマ。
月別の目撃件数は5月から急増し、6月はすでに最多となっている。(6月16日時点)

<山に近い団地周辺でも目撃多数>
福島県会津若松市一箕町の松長地区では、17日も昼前に体長50センチほどのクマが出没した。6月に入り確認されたクマの目撃は8件。住民は「家の真横が山という感じなので、クマがすぐ近くまで迫ってきているという怖さがある」と話す。
近くの小学校では、児童が普段からクマ鈴をつけて集団下校をし、教職員が巡回にあたっている。松永小学校の校長は「子どもの安全が第一なので、情報が入ったらすぐ対応できるようにしていきたい」と話した。

<増加した子グマと親離れの時期>
なぜクマの目撃が増えているのか?野生動物の生態を研究する福島大学食農学類の望月翔太准教授は、子グマの増加と親離れの時期が重なったことが背景にあると指摘。「おととしはブナの実が豊作で、その時にエサを沢山食べたクマがしっかりと子どもを産めた。生まれた子どもが1歳半になるのが2024年の夏頃と言われていて、一歳半というのがクマにとっては親離れする時期になる」と説明する。
望月准教授は、山にエサが増える秋まではクマが人里に降りてくる傾向は続き、今後も目撃件数は増えていくとみている。

<市街地でも必需品に?>
万が一に備えて、会津若松市にあるホームセンターでは対策グッズのコーナーを展開している。カインズ会津若松店の太田正志店長は「市街地でも出ているということなので、やはりクマ対策というのが必要になってくると感じる」と話す。
扱うグッズには、ボタンを押すと鐘など6種類の音が鳴りクマを遠ざけるものなど、クマと遭遇した時に役立つものも。
この店では、こうした対策グッズの売れ行きが2023年に比べて3倍に増えているという。

今後も目撃件数が増えるということであれば、山でも市街地でもいつ遭遇してもおかしくない状況なのかもしれない。また、車とクマとの衝突事故も発生しているので、運転の際にはご注意を。

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