7月16日、現役の消防士が山形・天童市の小学校で出前授業を行った。子どもたちに伝えたことは「消防士が間に合わない時に、どうやって自分の命を守るか」だと話す。
子どもを守る“出前授業”
天童市の長岡小学校で出前授業を行ったのは、「一般社団法人 火災予防のONE LOVE」。
この記事の画像(14枚)火災予防のONE LOVE・渡邉航生さん:
火をつけて忘れることもあるかもしれない。火事を『ゼロにしよう』ではなくて、起きても絶対に助かる方法をきょうはみんなに教えていく。
代表の渡邉航生さん(36)は、県内で現役の消防士として活動するかたわら、2023年9月に一般社団法人を立ち上げた。「子どもを守る愛の火災予防」を掲げ、小学校や幼稚園など県の内外で出前授業を行っている。
渡邉さんは、外出先で火災があった時を想定し、「まずは緑の誘導灯に逃げるのが一番いい。緑が見つからないときは、白の誘導灯の矢印をたどっていくと緑の誘導灯にたどりつく」と、逃げる道すじを事前に確認しておくことを子どもたち伝えた。
さらに、自宅でも避難する道すじを決めておくことや、火災報知器を必ずつけること、服に火が燃え移った時は床や地面に転がると消火できることなどを伝えた。
また渡邉さんは、SNSでも動画や写真を投稿している。
身近な火災の危険からどう身を守るかを、家族みんなで考えてほしいと考えているからだ。
「消防士は間に合っていない」
そして渡邉さんが1つの事例として挙げたのが、2024年5月に大江町で発生した住宅火災。
家族5人のうち4人が亡くなったこの火事について、「5人暮らしでお母さんだけが助かった。お母さんが助かったのは近所の人がはしごをかけて2階から助けた。消防士は間に合っていない」と話した。
子どもたちに特に知ってもらいたいのは、火事の時、命を守るために大事なのは「消防が到着する前にしっかりと逃げる」こと。
渡邉さんは、「消防士をやって16年になるが、火事の現場で人を助けたことはない。1人も、ゼロ。消防士が400人出ても1人も助からない火事もあった」と意外な実情について語った。
子どもたちにとっては、自分がもし火事に直面した際にどう行動すれば良いのかを考える機会になったようで、「火がついたら、大人の指示に従いたい。みんなが助かるようにしたい」「はしごを使って逃げるときに、避難はしごのボックスがあることを初めて知った」「1階に寝る場所がある。火事の時はそこの窓から逃げようと思う」などの声が上がった。
「火災予防のONE LOVE」は、7月は県内3カ所で、8月は広島でも出前授業を行う予定。
渡邉さんは、「火災が起きてからは消防士や大人しか守れないかもしれないが、起きる前だったらみんなにもできることがあるということを伝えたい」「きょうの火災予防教室で習ったことをぜひ家族に伝えて、一緒に考える機会にしてほしい」と話していた。
ONE LOVEでは出前授業の依頼も受け付けている。詳しくはウェブサイトやインスタグラムを見てほしい。
(さくらんぼテレビ)
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