人と話していると、口のにおいで「コーヒーを飲んだのだろう」と気づくことは少なくない。ただいわゆる“コーヒーの香り”ではなく「なんか臭い…」と感じることもある。

この腐ったような“もわっとした臭い”を、口臭治療を専門とする中城基雄氏(中城歯科医院院長)は「コーヒー口臭」と呼んでいる。コーヒー口臭は、コーヒーのドリップ液、砂糖やクリームなどに含まれる「含硫アミノ酸」が、口内の細菌に分解される過程で発生する“腐ったようなにおいのガス”によるものだという。

舌の位置や唾液に注目だ(画像はイメージ)
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そんなコーヒー口臭が、自分の口からも出ているとしたら…。中城院長によると、コーヒー口臭は砂糖やクリームなどを減らすことである程度は改善できるが、普段の生活にも防ぐためのコツがあるという。注目したいのは「舌の位置」と「唾液」だ。

舌の位置で細菌の繁殖を抑えよう

コーヒー口臭を防ぐために意識したい、ひとつ目のポイントは「舌の汚れ」を防ぐことだ。舌が汚れている、コーヒーの成分が舌に残ったままだと、口臭を引き起こす細菌の“栄養”になりやすいという。コーヒー飲んだ後はできるなら、水やマウスウォッシュなどで口内をゆすぐようにしたい。もちろん、歯磨きも有効だ。

口をゆすぐだけでも変わってくる(画像はイメージ)

併せて、中城院長が勧めるのは「舌を上顎につける習慣」を持つことだ。私たちの上顎、前歯の裏側あたりには「口蓋皺襞」(こうがいすうへき)という、ざらざらしたところがある。舌とここがこすれると、汚れや細菌を落とす効果が期待できるという。

「例えば『らりるれろ』と話すと、舌がペタンペタンと上顎にぶつかると思います。こうした時に洗濯板のような役割をして、舌を掃除してくれるんですね」

青い矢印が「口蓋皺襞」の部分(提供:中城院長)

口の形状はそれぞれだが、舌を上顎につけて鼻をつまみ、口から空気を「フーッ」と吹き出そうとした時に「口から空気が漏れにくい場所」 が舌のベストポジション。舌がここにあると、普段の会話などを通じてこすれるので、口臭対策になるという。

口と舌の運動、ツボで唾液を増やす

もうひとつは「唾液の分泌量」を増やすことだ。唾液には殺菌作用があり、細菌の繁殖を抑える役割もある。中城院長によると「唾液分泌体操」を行うと、口が乾いて、コーヒー口臭が発生してしまうのを防ぎやすいという。

唾液分泌体操(1)の動作(提供:中城院長)

【唾液分泌体操】
(1)口が「ニッ」となるよう横に広げる。歯と歯が当たって「カチカチ」と音が出るように下顎を36回動かす。口の開け閉めは早く行う。

唾液分泌体操(2)の動作(提供:中城院長)

(2)舌を軽く出し、舌先で唇をなめるようにして円を描く。左右それぞれ12回転させる。早めに回転させるのがコツ。

唾液分泌体操(3)で押す「傍廉泉」の場所(提供:中城院長)

(3)喉仏上部のへこみから、2cmほど外側にずれた場所左右それぞれにある。傍廉泉(ぼうれんせん)というツボを押す。人差し指と中指で、心地よい力加減でマッサージする。

この体操をすると唾液腺が刺激されて「ジュワッ」と唾液が出てくるという。口や舌を動かすのが恥ずかしいシチュエーションなら、傍廉泉を押すだけでも効果があるとのことだ。

中城院長は「口臭が心配でやりたいことが制限される、心のバリアとなっているのはもったいないです。改善して、人生の可能性を広げてもらいたいですね」と話す。

コーヒーは好きな人も多いはずだ。飲んだ後のコーヒー口臭に心当たりがあるなら、今回の情報も参考として、上手に付き合ってみてもいいかもしれない。

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中城歯科医院の中城基雄院長

中城基雄
歯学博士。1984年に東京歯科大学を卒業し、88年に日本大学大学院歯科放射線科で学位を取得。同年、中城歯科医院の院長に就任する。口臭治療専門の歯科医として、5000人以上の口臭を診察。東洋医学への知識も深く、2003年には鍼灸師の国家資格も取得。著書に『病気の9割を寄せつけない たった一つの習慣』(サンマーク出版)、『スマホがあなたをブスにする』(大和出版)がある。

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