秋田県上小阿仁村に手作りのプリンで村おこしに奮闘する男性がいる。村の名物を目指し「存在感を持ち続けながら頑張りたい」と意気込む男性を紹介する。

 五城目町から国道285号線を北上すること30分。上小阿仁村に入ると見えてくるのが、手作りのプリンやクッキーなどを販売する「やまぶん」だ。鵜野浩一郎さん(47)が店を切り盛りしている。

 北海道出身の鵜野さんは、山形で環境調査の仕事を経験。17年前に妻の幸子さんの父親の古里・上小阿仁村に移住した。

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「何か食べ物を作る仕事がしたいなと思って。当時(17年前)、農業の担い手不足が話題になっていたので農業ができないかなと。いろいろ考えている中で、上小阿仁村に妻の父親の実家が空き家になって、家があって農地もある。上小阿仁村で農業研修も受けられるということで移住を決めた」

 ”第二の人生”として夫婦で農業と飲食店を始めた鵜野さん。子どもが生まれたのをきっかけに、現在の菓子店へと形態を変えた。

 気になるのが「やまぶん」という店の名前。果たしてその由来とは?

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「この家の昔からの屋号で、苗字と名前の頭文字。何代か続いているが、”やまぶん”がこの家の呼び名になっているので、それをそのまま店名にした。名前だけは伝統がある」

 由緒ある屋号から名付けた「やまぶん」。自慢は手作りのプリンだ。

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「自分たちがおいしく感じるのはもちろん、風味や香り付けであったり、『こういうものが食べたいが探してもなかなか無い』というものを自分たちで作るようにしている」

 菓子作りはすべて妻の幸子さんが担当。自慢のプリンは、”県産の卵”やまろやかな甘みが特徴の”オーガニックシュガー”などを厳選し、まごころ込めて作っている。

 プリンは、シンプルなものと自家製のカボチャを使った2種類。なめらかな舌触りと優しい甘さが楽しめると口コミで徐々に広まり、プリン目当てに多くの人が訪れている。

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「『もらって食べたらおいしかったので自分で買いに来た』とか『知り合いからおいしいと教えてもらって買いに来た』と、“おいしかったから来た”という反応が一番うれしい」

 ちなみに、店の前には大きなプリンのモニュメントがある。

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「あれは妻のアイデアで、何かアイキャッチになるプリンの形をしたものがないかと考えて作った。写真を撮る人は結構いる。上に買ったプリンを乗せて撮ったりとか、楽しんでもらっているみたい」

 家族の縁で村にやってきた鵜野さん。「村のために」と強い思いを持っている。

 やまぶん・鵜野 浩一郎さん:
「客が来てにぎわうと、『上小阿仁村に来て楽しい』というふうになっていくと思う。ここでやり続けて、ここにおいしいプリン屋があるということになれば、それが村の名物になるのかなと思っている。存在感を持ち続けながら店を続けていきたい」

 鵜野さんはこれからも、おいしいプリンや菓子で村に笑顔の輪を広げる。

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