高校では唯一の男子だけのチームが、全国大会に向けて練習に励んでいる。福岡市の福大大濠高校の男子チアリーディングチーム「クッキーズ」。高校生としては、全国唯一の男子のみのチームだ。

部員の多くは未経験者

「クッキーズ」のメンバーは総勢30人ほど。その多くは入部するまでチアリーディング未経験者だった。

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入部の動機についてたずねてみると、部員たちはそれぞれ「演技したり披露したりするの見て、楽しそうだなと思って」(1年生・山下桜舞さん)、「人が高く飛んだりして、初めて見る世界ですごすぎて、言葉になんなくて。憧れて入りました」(2年生・秦英明さん)と明かした。

第20代キャプテンの楠田大翔さん(3年生)は、5歳のころから女子に混じってチアリーディングをやっていた数少ない経験者だ。

「クッキーズに入ってチアリーディングをするために大阪から福岡に来ました。クッキーズのパワフルさにひかれて高校でやる価値あるなと思って」と県外から入学した理由を語る。

採点基準は技の正確性や難易度、そして笑顔や元気

2024年、クッキーズは九州大会で2位に入り、全国大会出場を勝ち取った。チアリーディングは「いかに観客を魅了し、ひきつけられるか」を競う競技。技の正確性や難易度、そして笑顔や元気が採点基準となる。

8月末から始まる全国大会に向けて力を入れている技がある。
立った状態で、2段になった人の上にもう1人が回転しながらジャンプ。最上段でピタリと収まる男子ならではのダイナミックな見せ場を作れる大技だ。

しかし、失敗すれば大ケガにつながりかねない。取材した日、現状の成功率・完成度は、いま一歩の状態だという。最上段に飛び乗る役割を担う楠田キャプテンは「いまでも慣れてないというか、高いところはもちろん怖いんですけど、やっぱ全員で息を合わせて、ケガをしないためにも仲間を信頼して、思い切ってやるってことが一番大事になってくると思う」と前を向く。

何度も、何度も、繰り返される練習。技を失敗したあとは生徒同士で意見を出し合い、信頼感と一体感を高めていく。

「いまのでも真ん中ギリギリやん。それちょい遅れてるよ」と指導するコーチ・匹田恭平さんはクッキーズOB。クッキーズが初めて全国大会に出場したときのメンバーだ。クッキーズができたのは20年前。その2年後には全国大会に初めて出場し、決勝進出。男子だけのチームは一躍その名を全国に轟(とどろ)かせた。

自らも高校に入ってからチアリーディングに出会ったという匹田さんにとって全国大会出場は「決勝まで行かせてもらって、すごかった。一生忘れられない思い出」だ。「仲間と協力して成長していく過程」がチアリーディングの魅力だと語る。

クッキーズ・匹田恭平コーチ:
できないことをできるようにしていくというのを、みんなでやっていくのがすごく面白くて。けっこう苦しいんですよ。練習している期間って。まあ練習はめちゃくちゃ苦しい。本当に信頼関係がないといけないし、その中でチャレンジしていく。その過程が青春。

目標は決勝進出

全国大会本番で使用する音楽を流して、通しの練習に余念がない。失敗の多かった大技も何とか成功した。全国大会は8月29日から東京で行われる。創立20年の節目を迎えるクッキーズの目標は、決勝進出だ。

楠田キャプテンに意気込みを聞くと「初心者から、みんな積み上げていってくれて、もう20代目。先輩たちへの感謝の意も込めて、大会で決勝進出、頑張りたいと思います」と語った。OBの匹田コーチも「3年生にとっては最後の夏になるし、本当に熱く、後悔ないようにやりきってほしいなというのが一番思っていることです」と見守る。

(テレビ西日本)

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