最近、あまり蚊に刺されていない。蚊といえば真夏に多い印象があるが、見かけることも少ない気がする。この猛暑で、蚊も夏バテしてしまったのだろうか?

蚊の研究歴32年、害虫防除技術研究所代表で医学博士の白井良和さんに、蚊の生態や対策について詳しく聞いた。

■蚊は気温25度~30度で活発化

害虫防除技術研究所 白井良和さん
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害虫防除技術研究所 白井良和さん:猛暑だと、蚊の発生が減るのと、活動が鈍るので、蚊の数が減ります。

15年ぐらい前の衛生研究所のデータでは、蚊の発生数は8月がピークでした。6月、7月と増え、8月が最多、9月になると減少していました。

しかし今は、当時より気温が上がっていて、晴れの日も多い。雨が降らないから水が溜まらないし、溜まっても暑さで蒸発します。蚊というのは卵からサナギまでの期間を水中で過ごすので、水たまりが少ない今は、蚊が発生する場所が少ないのです。

さらに、蚊は温度が高すぎると飛べなくなったり、死んでしまったりします。

種類によって違いはありますが、だいたい気温が25度から30度の時に活発に活動します。そして35度を超えると木陰などに潜み、わざわざ暑い所へ血を吸いに出てこなくなります。

とはいえ油断はできません。9月になって気温が下がり、台風などで雨が降ると、水たまりが出きるので、たちまち蚊が発生するでしょう。9月は蚊が多くなるでしょうし、10月下旬ぐらいまでは注意が必要です。

■やぶ蚊の卵は乾燥に強い! もうすぐ蚊が増えるかも?

害虫防除技術研究所 白井良和さん:今週末から来週にかけて、全国各地で雨が降るようです。8月は晴天の日が多かったので、めぐみの雨ですが、蚊が発生する危険な雨でもあります。

やぶ蚊は、1回に数十個の卵を産みます。産卵場所は水際や水面。ふ化した幼虫(ボウフラ)からサナギまでの期間は水中で過ごします。水がないと生きていけません。

ところが、国内の広い範囲に生息する「ヒトスジシマカ(いわゆる“やぶ蚊”)」の卵は乾燥に強く、1カ月程度なら乾いた場所でも生き残ることが出きるのです。つまり、雨が降ると、生き延びていたやぶ蚊の卵がふ化して幼虫になり、早ければ1週間程で成虫になります。

今月末あたり、やぶ蚊が増えるかもしれません。

■秋は昼も夜も外も中も要注意!

害虫防除技術研究所 白井良和さん:日本にいる蚊は約100種類。そのうち、よく見かけるのは、「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」です。

「ヒトスジシマカ(やぶ蚊)」は、暑さに強く、本来、夏によく見かける種類です。今は、水たまり不足で発生が抑えられていますが、この先、たくさん発生する可能性があります。主に昼間活動し、木陰や草むらなど、風のない湿っぽい場所で吸血。刺されると、腫れとかゆみを生じます。

「アカイエカ」は、文字通り家の中に侵入し、夜間に活動します。夜、暗がりで「キューン」と飛んでくるのはこの蚊です。こちらは暑さに弱く、もともと初夏と秋に多く発生します。

つまり、今年の秋は、昼間は屋外でヒトスジシマカ、夜は室内でアカイエカに注意ということです。

■蚊は濃い色を好む 服装で対策も

害虫防除技術研究所 白井良和さん:蚊は色を識別できると言われていて、濃い色を好む研究結果が出ています。

蚊対策というなら、洋服は、黒などの濃い色ではなく、薄い色、そして、蚊の針が肌に到達しないような、ダボっとした大きめのデザインのものが良いでしょう。

また、うちわやハンディファンなどで体に風を送り、蚊を吹き飛ばすのも有効です。

■日陰の植木鉢は注意 蚊の発生源「受け皿」は外す

害虫防除技術研究所 白井良和さん:蚊の発生を防ぐには、水たまりを作らないことです。

ガーデニングを楽しまれる方は、日陰に置いた植木鉢の受け皿に注意をしてください。水たまりが出来ていないか、こまめに確認するか、できれば10月頃までは受け皿を外して、その都度、水をあげるようにするのが、蚊対策としてはおススメです。

日当たりが良い場所は大丈夫。明るすぎる所、直射日光が当たって温度が高くなる所は、蚊は発生しません。通常、そういう場所には産卵しないですし、産卵しても水が温まって死んでしまいます。

■窓を開けるなら、全開がおススメ

害虫防除技術研究所 白井良和さん:涼しくなってくると、エアコンを切って、窓を開けて過ごすことも増えると思いますが、ここで注意です!

窓を少しだけ開けると隙間が出来やすく、蚊の侵入を許してしまいます。窓を開けるなら、片側を全部開けるか、モヘア(網戸についている毛状のもの)がぴったり隙間のない状態になっているかを確認して下さい。

一般的な窓の場合、網戸を右側にすれば、隙間が生じにくくなります。また、網戸にほつれがないかの確認もしっかり行って下さい。

蚊の研究者としては、蚊の発生を減らすことが重要です。

それには蚊の幼虫が発生する水たまりを無くすこと。蚊が発生する時期、一人一人が身の回りの水たまりに注意するようにしましょう。

(害虫防除技術研究所 白井良和さん)

(関西テレビ 2024年8月24日)

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