台風の最新情報を気象予報士の片平敦さんが解説します。

■鹿児島県で暴風・波浪の特別警報発表

【片平敦 気象予報士】「まず28日午後1時発表で、台風の特別警報が出ています。鹿児島県の奄美地方以外の地域に、台風の暴風特別警報や、海沿いには波浪の特別警報が発表されています。

 これからまさに経験したことのないような暴風あるいは高波が起こりうるので、早めの避難行動をとってくださいということで、暴風と波浪の特別警報が発表されました。

図の紫色に塗られている地域は、経験したことのないような猛烈な風が吹く恐れがあります」

鹿児島県に暴風と波浪の特別警報が発表されています。

暴風、高波、高潮に最大級の警戒が必要で、28日午後2時、気象庁は緊急の記者会見を開いて、注意を呼び掛けています。

■現在、台風の中心は種子島・屋久島と奄美大島の間ぐらいに

【片平敦 気象予報士】「28日午後1時現在の台風10号の位置ですが、鹿児島県の種子島・屋久島と奄美大島の間ぐらいの地域に中心があります。屋久島と種子島の一部が、いま風速25メートル以上の暴風域に入っていて、九州も南半分が風速15メートル以上の強風域の中に入ったところです」

台風はゆっくりとした速度で北に向かっているということです。


■日本列島直撃の可能性も

【片平敦 気象予報士】「28日午後2時からの気象庁の記者会見では、『経験したことのないような』という言葉がありました。九州は割と台風が来る地域だと思っている方もいるかもしれません、その九州でもめったに来ないような強い台風だという心構えを持っていただきたいです。

中心の気圧は935ヘクトパスカル。
『非常に強い』勢力で、このような勢力で日本付近に近づいてくる台風はなかなか例がありません。
沖縄や南の方では割と強い形で来ることがありますが、いま日本の近くの海の温度が高いので、強まりながらやって来るという異例の展開になっています。

この後も速度はあまり上げないまま北上してくる見通しで、予想進路を示す『予報円』の中心を通っていくと、九州の西を29日(木)~30日(金)で進んでくる見通しです。なかなか速度を上げないということは、影響が長引く恐れがあります。

その後、進路を東寄りに変えて、31日(土)に東の方へ進んで、四国や近畿のあたりに。その後9月1日(日)~2日(月)にかけて、まだ速度を上げないまま、東日本や北日本の方へ進んでいく見通しです。

『予報円』というのは『この円の中のどこかに中心が進む可能性が高い』という意味があります。台風が大きくなるわけじゃありません。例えば、一番北側のコースを通ると、九州北部を通って山陰を通って日本海に抜けていくパターンもあります。南側のコースを通ると、九州南部で急に進路を東寄りに変えて海に出て、四国の沖合を通って関東の南というパターンもあります。

 一番怖いのは直撃コースで、九州~四国~近畿~東海~北陸~関東と日本列島を突っ切っていく可能性もあります。非常に動きが心配な台風と思ってください」

■経験したことのないような強い風の恐れ

台風の規模は小さくなっていかないのでしょうか。

【片平敦 気象予報士】「台風のエネルギー源は暖かい海なので、陸地に上陸すると弱まることはあります。ただそれでも現在かなり強いので、そう簡単に弱まらない。あと例えば九州を横切って、また四国の南の海上に出てしまうと、海の温度が高いのでもう一回発達する可能性もありえます」

スピードが速くなるということはないのでしょうか。

「スピードは上空の偏西風に乗れば上がるんですが、偏西風はまだ北海道の方で吹いていますので、あまり速度が上がらないままとろとろと進んで行くのが、今回の台風の怖いところとも言えそうです」

風に気をつけなければいけない地域はどのあたりでしょうか。

【片平敦 気象予報士】「風の予想を見ますと、あくまでコンピューターの予想なので台風がどこに行くかはっきりわかりませんが、九州や四国、中国、近畿に紫色の矢印で表された強い風がだんだん近づいてくる様子がわかります。風が非常に強くて、経験したことのないような風が九州で吹く恐れがあると見ていただきたいです。

予想される風の強さは、九州南部で28日(水)~29日(木)に最大瞬間風速70メートルと非常に強い風が予想されています。猛烈な風が長く続く。2018年に関西空港に大きな被害を出した台風よりも強い風が九州で吹くかもしれないので、九州にお住まいの方は、2018年の関西以上の被害が起きてもおかしくないと思っていただきたいです」

2018年の台風21号の際、近畿ではトラックが横転したり、工事現場の足場が崩れるなどの被害が多数あり、死者14人を出す大きな被害がもたらされました。

■台風が近づくと急激に風が強まるので警戒を

【片平敦 気象予報士】「台風が近づくと急激に風が強まりますので、いま吹いていないからと甘く見ないで、突然猛烈な風が吹くということに気を付けて欲しいです。

31日(土)ごろにかけて、台風が去るまではどこかで暴風の危険がある状況が続きます。警戒を続けていただきたいと思います。急に危なくなります。

もう一つ九州にお住まいの方は、風が吹いてからの避難は無理です。いま明るいうちに安全な場所に避難をしておいてください」」

雨に関してですが、台風上陸前にすでに西日本中心に激しい雨が降っています。

【片平敦 気象予報士】「台風本体の雨雲はこの後近づいてきて、九州でさらに雨が強まりますが、四国、近畿、東海のあたりでも広い範囲で雨が降っています。台風から離れていても、雨脚が強まる地域がある状況です」

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2024年8月28日放送)

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