心を奪われるような美しい風景写真の数々。

過去に北海道の知られざる絶景を紹介してくれた風景写真家・鎌田光彦さん。

公務員として働きながら、世界的写真家としても活躍している。

今回は、そんな鎌田さんの撮影に3年ぶりに密着した。

鎌田さんの撮影に密着

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「(Q:今日はどちらに向かう予定?)きょうは、網走とか小清水のあたりをちょっと回ってみようと思ってます」(風景写真家 鎌田光彦さん)

今回の特集は、風景写真家が教える北海道奇跡の絶景・夏編。

撮影当日、この日の天気は北海道全体で曇り。

「10回行って本当にこれだっていう状況は、1回あるかないか」という鎌田さん。

彼の撮影は冬のイメージが強いが。

「私のメインは冬だが、夏の北海道にも良いところがたくさんある」(鎌田さん)

鎌田さんの作品の7割近くは冬の景色だが、夏に撮影できる奇跡の絶景もたくさんある。

幌加内町のそば畑や幕別町のひまわり畑

例えば、幌加内町のそば畑では。

「夏の時期になるとソバの花が一面に咲く。立ち込めた朝霧に包まれたそば畑という感じで何度も何度も撮りに行っている」と話す鎌田さん。

他にも、見頃の幕別町のひまわり畑も、鎌田さんが撮影すると唯一無二のアート作品に変身。

「普通の時間帯に撮るのも『まあまあキレイですね』より印象的に撮るために、キレイな風景『+何か』(朝日や朝霧)自然現象と合わせて撮影することを考えてますね」と語る。

鎌田流の撮影方法

奇跡の一枚を生み出すには、鎌田氏ならではの独自の撮影方法が。

「(Q:ナビについているマークは?)これ全部撮影のポイントですね。何十回か通ってるうちに、(ココは)こういう情景が撮れるんだというのを、メモ代わりにポイントしてます」(鎌田さん)

撮影場所は自らの足で探し、良い条件に当たるまで何度も現場に通う。

「今シーズンは12月から3月の頭、本当に寒い時期には特に多く行ってるんですけれど、冬の期間だけで21回行きましたね。特にいまねらっているのはダイヤモンドダスト」(鎌田さん)

冬、最も撮影に挑戦したのが北海道東部のダイヤモンドダスト。

この美しい現象を撮るために、極寒の中、20回目でようやく満足いく作品が撮影できたという。

冬と夏で異なる表情を見せるオンネトー

また、同じ撮影場所でも、冬と夏では異なる一面を見ることができる。

アイスバブルと呼ばれる冬の現象が有名なオンネトー。

こちらの冬の絶景は、鎌田さんの代表作の一つだが。

夏の撮影では。

「夜から朝方にかけてすごく静まり返った湖で、波があたるところに焦点をあてて撮ったり。現実離れしたすごく鮮明なキレイな色合いになる」と鎌田さん。

出発して約8時間。

この日の撮影目的地、網走市に到着。

しかし天気はあいにくの雨。

「ここは斜里岳が見える範囲でグルグル探して見つけました」という風景。

一見普通の畑だが、この風景に奇跡の瞬間が。

「大きく斜里岳が出て、手前が盆地になっているので雲海が出やすい。キレイなラインを描いて耕された畑が(合わさると)作品になる場所」と話す鎌田さんの撮影のコンセプトが「幻想風景」。

どこか夢で見たかのような現実離れした風景を、加工なしでどこまで撮影できるか、挑戦を続けている。

「風景写真ってただ撮って『キレイだったな』だと1回見ただけでそこまで印象に残らず終わる。私が目指すものとしては風景写真はアートでなくてはならない。そういうものを目指して撮影したいと思っている」と話す。

雲海の名所 小清水高原

午前3時30分、この日の目的地は藻琴山にある小清水高原。

あまり知られていないが、雲海の名所なんだそう。

「小雨状態なんですけど、これだと雲海にはなっている。この状態がもうちょっと下に落ちてくれれば雲海が広がるんですが」(鎌田さん)

なかなか下がらない雲。

少しでも良い位置から撮影するため、登山コースを進むが、残念ながらこの日は終始雲の中。

鎌田さんがカメラを構えることはなかった。

しかし、この藻琴山の雲海、条件がそろえばこんな絶景が。

「地面をスレスレに漂うような雲海の隙間から、木々がポツポツと顔を出す」まるでモノクロの中国の水墨画のような、日本画のような景色を見せてくれる。

ここは、鎌田さんのお気に入りのポイントなのだそう。

鎌田さんは、北海道各地で美しい雲海を撮影している。

2021年、取材で同行した北海道北部の美深町の函岳には30回以上通い、こんな美しい雲海の撮影に成功している。

鎌田さんの今後の活動

鎌田氏が撮影で大切にしているのは「自然の光」だ。

苫小牧市の樽前ガローでは、木漏れ日が美しい光のアートに。

ほかにも北海道内各地で光をテーマにした作品を数多く撮影している。

午前6時、最後の撮影スポットへ。

清里町にある神の子池。

緑の中に現れる美しく青く透き通った池に、優雅に泳ぐオショロコマの姿が神秘的。

定番はこの看板をバックに撮影するのだが。

神の子池でこの季節の朝の数十分だけ現れる奇跡の瞬間がこちら。

「湖面が少し冷やされることによって、もやがかかっている。そのもやを天然のスクリーンにして光芒が斜めから差し込む。そういう瞬間が本当に、この時期この時間帯、6時台だけ現れる。私は(定番より)興味のあるポイント」(鎌田さん)

鎌田さんは、「北海道東部の風景がすごく気に入ったので、移住して拠点を作り、今後は毎日のように撮影を楽しみたい」と話す。

これからも奇跡の瞬間を撮り続けてくれることだろう。

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