アスファルトの隙間から好き放題に伸び続ける雑草。

道端でよく見かける光景だが、ある日、雑草が生えている場所からアスファルトに大きな亀裂が入っているのを目撃し、「硬いアスファルトを突き破るなんて、さすがに強すぎるのでは?」と感心してしまった。

感覚的に植物は土がある場所の方が成長しやすそうなイメージがある。たくましく育っているのを見ると、なんとも不思議な気持ちになった。

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手で簡単に抜き取れるし、踏めばぺしゃっと潰れてしまう。そんな雑草のどこに、アスファルトを突き破るほどの力があるのだろうか。

除草剤などの開発・製造・販売を行う日産化学株式会社の担当者に話を聞くと、そこには植物が生き抜くための戦略があった。

ゆっくりと隙間を広げ…

――アスファルトから生えている雑草は、どんなことがきっかけで根を張るの?

アスファルトの割れ目やくぼみには土と雑草の種子が入り込みます。雨水による水分と気温の条件が整うと雑草は発芽し、アスファルトの隙間に根を伸ばして成長します。

アスファルトの下の土や砂利に含まれていた雑草の種子が発芽して、アスファルトのすき間から芽を出して成長する場合もあります。

ササやセイタカアワダチソウなどの根から繁殖する多年生雑草が隣接する植生地からアスファルトの下に根を伸ばし、アスファルトのすき間から地上部に芽を出す場合もあります。

提供:日産化学株式会社

――これらの雑草は、どんな種類の植物?

ある程度乾燥に強ければ、イネ科雑草から広葉雑草まであらゆる雑草が生える可能性があります。


――アスファルトのように硬いものを突き破るほどの力はどこから出てくるの?

雑草は細胞分裂によって細胞数を増やし、増えた細胞を肥大させて成長します。その細胞分裂と肥大化によってゆっくりとアスファルトの隙間を広げながら根や茎を伸ばしていきます。

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――例えば、コンクリートも突き破れてしまうの?

隙間が多く比較的柔らかい性質のアスファルトでは雑草は成長しやすいですが、緻密で固いコンクリートでは割れ目や継ぎ目がない限り雑草でも突き破ることは困難です。

厳しい環境に根を張り独占

――アスファルトは植物にとって環境が良いと思えない。雑草が大きく育つのはなぜ?

植物の生存戦略です。

成長に条件のよい場所では、他の雑草と競合になり不利な場合があります。一見、厳しい環境の場所でも、そこに根を張ることができれば、競合を避けて独占できることになります。

人間によって舗装された人工的な環境へ適応できる雑草は、勢力範囲を広げることができます。

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――何度むしっても雑草がしつこく生えてくるのはなぜ?

雑草は茎や葉がちぎれて無くなっても根が残ればそこから何度でも再生する能力を持っています。そのため、むしっても根が残っているとそこから生えてきてしまうのです。


――もしアスファルトの雑草を取り除きたかったらどうすればいい?

成長した雑草の根はなかなか手では完全に抜き取れません。弊社製品のラウンドアップマックスロードなど、雑草の葉にかけると浸透移行して根までしっかり枯らす除草剤が手軽で効果的です。

除草剤が効果がある理由

――ちなみに、除草剤が雑草に効果があるのはどのような仕組み?

除草剤の中で最も売れているラウンドアップマックスロードを例にとります。

ラウンドアップの成分は葉にかかると雑草の隅々まで素早く浸透移行し、植物にしかない種類のアミノ酸合成酵素の働きを阻害して雑草を枯らします。

草の種類に関係なく多種多様の植物に効果があります。人などの動物や魚類、昆虫はこのアミノ酸合成酵素を持たないので、安全性が高いのです。

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――よく知られている方法で、間違った除草方法があれば教えて。

現在、草刈機での除草が主流ですが、根が残って再生するので何度も何度も草刈りしなければならず、除草剤散布よりも燃料消費と労力が大幅に増えることになります。

さらに農業機械の傷害事故で最も多いのは草刈機ですので、作業には十分な安全装備と注意が必要です。

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アスファルトの隙間に根を張り、細胞分裂と肥大化でゆっくり根や茎を伸ばす。“雑草魂”とはよく言うが、そのパワーに改めて驚きだ。

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