「敬老の日」に合わせ、高齢者のための多くのイベントが行われたが、大会で賞を取り続けている米寿の現役ボディビルダーが広島にいる。体だけでなく、駄洒落トークも弾ける、その元気の秘訣を取材した。

「90歳までは現役で」

全身にみなぎる筋肉。現役バリバリのボディビルダー金澤利翼さん。なんと、御年88歳というから驚きだ。体だけでなく、駄洒落トークも弾ける。

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Q:88歳には見えないですね?
金澤利翼さん(88):
センキューベリーマッチョ。

Q:筋肉って何歳になっても大きくなるんですか?
金澤利翼さん(88):
それを証明したいのが私。私は88歳だけど、90歳まで現役を貫こうと思っている。

金澤さんが、ボディビルダーの競技に目覚めたのは20歳のとき。それまでは水泳部でオリンピックを目指していたが、その夢がかなわず、当時、体を鍛えるために行っていた筋トレがきっかけでボディビルダーに転向した。日本選手権や年齢別のマスターズ選手権で、これまで16度の日本一に輝き、世界大会にも出場した。

毎日12時間働き2時間トレーニング

トレーニングの拠点は広島市内で自らが経営するジム。金澤さんの日常生活は、ジムの事務処理や清掃など、毎日12時間働き、夕方の2時間だけ自分のトレーニングに費やす。これを約60年間続けているという。

ただ、年を重ねるごとに避けられない悩みは、筋肉の回復時間が遅くなったこと。そのため、今は一日に一つの部位しか鍛えない。

懸垂も楽々と

この日鍛えるのは、肩。両手の幅を広くとると、難易度がかなり高くなるということだが、金澤さんは難なくやってのける。

金澤さん:
筋肉をとらえて効かせる。これは若い人でもお年寄りでも同様に大事なこと。ただやるだけはダメ。

人生の大先輩の頑張る姿にジムに通う会員は…。

ジム会員:
すごく目標を持たれて、それに向かって進まれているので、人間としても尊敬している。頭がすごくシャープで、ダジャレも好きです。

筋肉を保つ秘訣は質素な食事

たくましい筋肉を保つ秘訣は、毎日自分で作る食事にあるという。
金澤さん:
椎茸は活性酸素を除去する働きがある。いつまでも若くいるための秘策は、本当に質素な食事を心掛けること。その基本は、腸を汚さない。ちょう(腸)いうことよ。

Q:そういうこと?
腸(そう)いうことよ。

最も豪華という朝食のメニューは…雑穀米に、味噌汁、納豆と確かに質素。ちなみに昼と夜はお米のみだそうで、50歳になってからこのスタイルを貫いているという。

さらに、天気がいい時は、車で10分の海浜公園へ出かけ、ボディビルダーにとって大切な“日焼け”をしている。

Q:この連日の猛暑が厳しいのでは?
金澤さん:
猛暑でも大丈夫。

Q:大丈夫?
金澤さん:
もうしょ(猛暑)んなことはないよ。ふふふ。

どうも、この駄洒落も元気の秘訣なようだ。

頑張るのは「天国の奥さんを喜ばせたい」

90代を前に、それでも努力をし続ける理由。そこには、亡き妻の存在があった。
金澤さん:
結婚したときから、私のボディビルに対する情熱とわがままを全部かなえてくれた。1番になって表彰してもらうときに、天国の奥さんも喜んでいるかなといつも思う。だから喜ばせたい。それだけ。

金澤さんの目標は、90歳までに「20回の日本一」の勲章を獲得すること。まもなく17回目の挑戦が待っている。

ここまで頑張ってきた金澤さんには、今、世の中に伝えたいことがあるという。

高齢者に努力すればできるということを伝えたい

金澤さん:
世のおじいさん、おばあさんに、頑張ったらこうなるんだってことを伝えたい。なんでもいいから、それぞれ自分の好きなことに対して努力をする。あきらめてはいけない。努力したら、きっと上達すると思う。

「最後まであきらめてはいけない」という思いを同世代に…そして、自分自身に伝えることも、金澤さんのモチベーションに繋がっているようだ。

9月15日、金澤さんは、福岡県で行われた年齢別のマスターズ選手権に出場し、見事、優勝を果たし、17回目の日本一を達成した。

電話で話を聞いたところ、「優勝は予定通り。次は10月の日本選手権で出場最高齢記録に挑む」と意気込んでいた。

金澤さんの挑戦はまだまだ続く。

(テレビ新広島)

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