接近してくるヒグマに見立てた張りぼてに向かってクマ撃退スプレーを吹き付ける参加者=北海道根室市の市民の森で2024年10月8日午後1時15分、本間浩昭撮影

 近年ヒグマの出没が相次いでいる北海道根室市で8日、市街地にヒグマが出没した場合の対応訓練が初めて行われた。根室署や市、根室振興局など行政機関のほか、道猟友会根室支部などから十数人が参加した。

 市内での出没事例を元に机上訓練を実施後、野外で痕跡の見分け方やクマ撃退 スプレーの使用法などの研修を行った。根室署の武田翔一地域係長(42)は「拳銃と似て、腰から取り出し、安全ピンを外して発射するまでの動作にタイムラグがあると間に合わないので、訓練が必要だと思った」と話した。

 ヒグマは夜行性だが、鳥獣保護法は日没後から日の出までは銃器による捕獲を禁じている。さらに、住宅街などでの捕獲も原則としてできない。一方、2019年8月、札幌市南区の市街地にヒグマが出没したほか、同年12月に帯広市の中心部、今年6月に下川町の市街地にも出没するなど、人に危害を加えかねない事例が増えている。

 根室市でも5月23日深夜、市街地のコンビニエンスストア近くの道道根室半島線を横断するヒグマが目撃され、防犯カメラにも姿が映っていた。市によると、今年度は110件(7日現在)目撃情報が寄せられ、昨年1年間(100件)の目撃件数を超えている。

 クマ類の市街地出没に備え、環境省は4月、「指定管理鳥獣」に追加した。これを受け、環境省は人身事故の恐れがあったり、建物に侵入したりした場合などに限り、警察官の発砲命令がなくても市街地での猟銃による駆除を特例で認める改正鳥獣保護法を検討。今秋にも国会に法案を提出する。【本間浩昭】

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