疲れているときや季節の変わり目は、風邪などに注意したい。体温を体調のバロメーターとする人もいるだろうが、気になることがある。

平熱や体温は人それぞれ違うので、同じ温度でも受け止め方は違うはず。体調管理に役立てたいならどのように測定し、どんな基準で結果を受け止めればいいのだろう。人間の体温・体液を研究している、早稲田大学人間科学学術院の永島計教授に聞いた。

平熱より「1℃以上」高いなら注意

――平熱はそもそもどのようなもの?

簡単に言うと「健康かつ安静な状態で、過ごしやすい環境で測った体温」ですね。個人差があり、35℃台もいれば37℃くらいもいます。高齢になるとやや低くなったりしますが、健康であれば1日ごとに大きく変化することはありません。ただし、生理がある年代の女性なら性周期のリズムを反映して変化がみられます。


――他人と比べて平熱が低い、高いのはどう?

ここは気にしなくていいです。平熱は体格や基礎代謝によっても影響をうけますが、「低いからよくない」というわけではありません。安定していることが大切なので“自分の平熱”を大事にしてもらえればと思います。

体温の高さと不調が重なるなら注意(画像はイメージ)
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――体温が平熱より高いと考えられることは?

体温が平熱より「1℃以上」高いなら、何らかの感染症にかかっている可能性があります。頭痛やだるさなど、体の不調を伴う場合は安静にしてください。感染症には急性に進行するもの、激烈なものもありますので、急に熱が上がったり、体の強い痛み、尿の濁りなどがあれば、病院の受診をしてください。


――逆に平熱より、体温が低い場合は?

低いだけなら気にしなくていいです。ただし、甲状腺ホルモンの分泌低下などの代謝に関わる病気や、摂食障害によって栄養が不十分になり、体温が低くなっている場合もあります。低体温と体調不良が続くなら、注意が必要です。

正確に測るなら脇の下で「10分」

――自分の平熱や体温はどう測れば良い?

体調のバロメーターとしてなら、午前中(できれば朝)の体温を基準にすると良いでしょう。人間の体温は朝が低く、夕方に高まりやすいので「起床して落ち着いたタイミング」での測定をお勧めします。

汗をかいていたり、暑い、寒い環境で測ると、“本当の平熱”との誤差が出ることがありますので注意してください。服装もダウンジャケットなど厚着のままの測定は避け、薄着で過ごしやすい環境での測定が望ましいですね。

脇の下での測定がお勧めという(画像はイメージ)

――正確に測るためのポイントは?

腋窩(脇の下)は動脈が通り、筋肉などの組織が薄いので体温を正確に測りやすいです。腕をあげると脇の下がくぼみますので、そこに体温計の先端をおき、脇を引き締めるように閉じて、測るとよいでしょう。

できれば「5~10分」ほどの時間をかけて測定することをお勧めします。一般的な体温計(電子体温計・非接触体温計など)は数秒~10秒ほどで測定結果が出ますが、あくまで“予想される体温”になります。時間をかけて測定する“実測モード”が搭載された体温計を使うと、より正確に測ることができます。

口で測るなら口元を閉じよう(画像はイメージ)

――体温計を口にくわえて測定するのはどう?

こちらも正確な体温を測ることができます。ただしちょっとしたテクニックが必要で、体温計をベロの下側で押さえるようにしてください。測定の間は、口を開けないようにしてください。体温計を口にくわえますので、複数人で使うとなると、実践的ではないかもしれません。

平熱や体温は人それぞれ

――自分の平熱を知ることのメリットは?

発症していることに気づけない病気は、意外と多いものです。検温は予防接種のときなどにもすることがあるでしょうから、そうしたときに覚えておいてもよいでしょう。自分の平熱を知っておけば、体調を客観的にみられるのではないかと思います。

家族の平熱を覚えておいてもいい(画像はイメージ)

――このほか伝えたいことは?

平熱は人それぞれに違うので、他人と比べるのではなく“自分の体温”を知ることが大切です。体温が低くても、元気が良くて基礎代謝が高い人もいますので、低いからといって、気にはしないでもらえればと思います。



平熱やいまの体温を正確に測りたいなら、

・体温が活動の影響を受けにくい、午前中に
・厚着をせず、過ごしやすく感じる環境で
・体温計の“実測モード”を使い、5~10分ほどかけて測定する

ことがポイントになるようだ。機会があれば、参考にしてみるといいかもしれない。

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