特集は、新たにできたワイナリーです。長野県内はワイン用ブドウの栽培が盛んになり、ワイナリーも増えていて5年前の47カ所から2024年の夏で83カ所に。全国2番目の数です。そうした中、長野市信州新町に30代の夫婦のワイナリーができました。そろって仕事を辞め、ニュージーランドでワイン造りを学んだ2人。「名物のジンギスカンにも合うワインを」と取り組んでいます。

■医療従事者からワイン造り

ぶどうやぶワイナリー・松本大輝さん:
「これはアルバニーニョという品種。スペインとかでよく育てられている品種。香りが豊かなワインになるんじゃないか」

ワイン用のブドウを収獲する松本大輝さん(36)と衣里子さん(36)の夫婦。2人は4年前からここ、長野市信州新町でワイン用ブドウの栽培を始め、このほど、ワイナリーも完成させました。

松本大輝さん:
「気軽に手に取ってもらえるワイン、ワイナリーになれたら」

この秋、念願だった夫婦のワイン造りが本格化します。

2人が結婚したのは2014年。大輝さんは理学療法士、衣里子さんは看護師で松本市の病院で出会いました。2人がワイン造りに興味を持つようになったきっかけは新婚旅行でした。

松本衣里子さん:
「ワインの産地として確立されているところのワインを飲んで日常の中にワインがあるのってこんなに楽しいんだっていうのを思いましたね」

ヨーロッパ各国を巡るうちにワインのある暮らしに魅了された2人。思い切って病院を辞め、ワイン醸造が盛んなニュージーランドへ渡りました。

松本大輝さん:
「せっかくワインを造るなら、事前にしっかり勉強してやりたいっていう思いでニュージーランドの大学に行くことに決めました」

オーストラリアの農園などで1年半働いて、学費を貯め、リンカーン大学に入学。1年間、ワイン造りを学びました。

松本衣里子さん:
「授業の内容についていくのもやっとっていう感じでしたけど、でも実際にブドウを育てたりとか、これならできそうかなっていうところまで学べたのはよかった」

■故郷の畑に一目ぼれ

一時帰国で立ち寄った衣里子さんの故郷・信州新町。そこで牧草地だった土地を、大樹さんがたまたま目にしました。

松本大輝さん:
「大きくて畑がまとまっていて水はけがよくて天候も日当たりもよくて、いろんな品種が育てられそうだっていうところで、畑に一目ぼれというところが一番決め手ですね」

決断の早い2人。約200アールを借りてワイン用ブドウの栽培を始めました。

フランス・ボルドー地方などで栽培されてきたプティ・ヴェルド。


山ブドウとカヴェルネ・ソーヴィニヨンの交配品種・ヤマ・ソーヴィニヨン。

ピレネー山脈の麓で栽培されてきたプティ・マンサン。

この4年で栽培するブドウは11種・6000本に増えました。2024年も9月から収穫が始まり10トンを超える収獲を見込んでいます。

松本衣里子さん:
「樹幹を比較的狭く植えることで早く木が育つようになっていて、そのおかげで早く収穫できるように」


2023年までは収穫したブドウを他のワイナリーに委託して醸造してきました。

委託醸造のワインを試飲ー。

試飲した人:
「なかなかおいしい」
「とてもおいしくて匂いもこれはいけるなと。村の人たちと一緒に応援したい」


■名物ジンギスカンに合うワインを

この秋、いよいよ夫婦の醸造所でワイン造りを始めます。

「初仕込み、おめでとうございます」

最初の仕込みには駆けつけた荻原市長も参加。普段は保育園に行っている長男・周太ちゃん(1)や衣里子さんの母親・和子さん(67)も。

衣里子さんの母・島田和子さん:
「二人とも医療関係でやっていたのでそっちへずっと進んでいくと思っていたので、本当にびっくりしましたけど、うれしい気持ち半面と本当に大丈夫かなという不安と両方」


初めて醸造するワインは3000本ほどの予定です。

今後少しずつ増やし、いずれはあの名物との「マリアージュ」に最適なワインも造りたいと意気込んでいます。

松本大輝さん:
「僕らもジンギスカン大好きなので、その場所の食文化に合わせたワインも持てるように頑張っていきたい」

松本衣里子さん:
「子どもが大きくなって一緒に飲めるまで頑張りたい」

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