2023年に大発生した雪虫ですが、2024年は注意する必要はあるのでしょうか?
空一面が、真っ白になるほど去年、大発生した雪虫。
今年は、例年より早く初雪を迎えた札幌市。
冬を告げる雪の使者、雪虫はいつ大発生するのでしょうか。
北海道大学の雪虫研究の第一人者にインタビュー
「雪虫の研究の第一人者が北海道大学にいるということでやってきました。北大の構内です。あちらの方でしょうか…こんにちは。大きな網を持っていますが、今何をしていたのですか?」(千須和キャスター)
「雪虫を捕っていたところです」(秋元信一名誉教授)
「何のために捕っているのですか?」(千須和侑里子キャスター)
「研究で、雪虫のお腹の中にいるオスとメスの数を確かめるために毎年捕っているんです。」(秋元教授)
雪虫の研究をして30年以上、北海道大学の秋元信一名誉教授。
雪虫の種類と発生ピークの違い
この日は研究用の雪虫を採取するということで同行させてもらい、今年の雪虫の状況を教えてもらいました。
実は雪虫には大まかに2種類あり、それぞれ大発生のピークが違うそうなんです。
まずは、去年大発生した「綿のない雪虫」、ケヤキフシアブラムシがいるあたりへ。
「これがケヤキの木です。大発生した後は、幹にケヤキフシアブラムシがびっしりついた状態になるんですが、まだそうなっていない。だから今年はこれからだと思います」(秋元教授)
「どれぐらい後に?」(千須和キャスター)
「今週の後半から、天気が良くて風が吹いていなければ、たくさん現れると予想しています。夏から秋にかけて気温の高い年は、ケヤキフシアブラムシの方が発生しやすいんです」(秋元教授)
「ということは今年も相当多くなるんですね…」(千須和キャスター)
なんと、去年大発生した”綿のないタイプ”はこれからがピークとの予想…
一方、白い綿があるタイプの雪虫はどうなのでしょうか。
「トドノネオオワタムシ、綿のついている方は今ごろが最盛期になるだろうと。今週ですね。これです、これ」(秋元教授)
「ヤチダモの木を目指して飛んで、そこで子どもを産みます。春から秋まではメスしかいなくて、メスだけでどんどん子どもを産む。単為生殖といいます」(秋元教授)
つまり、この時期飛んでいる雪虫はすべてメスで、出産のためにヤチダモの木へ引っ越しをしているんです。
雪虫の驚くべき能力とは
驚いたのが、メスだけで子を産み、そこで初めてオスが登場すること。
そのオスとメスは羽が生えた成虫にはならず、交尾をして卵を産みます。
その卵は全部メスで、卵のまま冬を乗り越えます。
「これだけ捕れれば今日はいいかな。数は多いです。状態の良い大きな個体が多いです。年によってサイズが違うんです」(秋元教授)
「例えば雪虫がいなくなってしまったら、生態系のバランスが崩れるんですか?」(千須和キャスター)
「これが絶滅すると、別の捕食者や寄生をしている昆虫も滅んでいきます。鳥が食べたり、エゾリスが食べに来たり。数が多いので、タンパク源として他の生物が利用しているんです。おいしいかどうかはわからないんですけど」(秋元教授)
さらに、雪虫にはとんでもない能力があることがわかりました。
「風のない日を選んで、木が出す香りをかぎ分けて飛んでくるんです。我々には感じられない香りを、触角で感じて飛んでくる」(秋元教授)
「木にたどり着くまでに、人間とぶつかったり、払われたりしているうちに死んでしまう雪虫もいるんですね。忌々しく感じていた雪虫ですが、必死に移動していると聞くと、見る目が変わりました。ちょっと応援しても良いかも…」(千須和キャスター)
知れば知るほど、奥の深い生態の雪虫。まだまだ発生しそうなので、気になる人はマスクをするなどしてお出かけください。
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