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今月、厚生労働省が「食べ残しの持ち帰り」に関するガイドラインの骨子案を初めて発表した。

■【動画で見る】「まだ食べられるのに」飲食店での食べ残し対策

私たちが注意すべき持ち帰りの「条件」とは? また、ある意外な場所での持ち帰りについても、検討が進んでいるようだ。

■フードロスの約4分の1は外食産業 食べ残しの持ち帰りについて街の人は…

来店客:「イエーイ!」

大阪市内の、中華料理店。 円卓を囲んで、様々な料理を楽しんでいるようだが・・。 満腹になってしまったのか、食べ残しも。

年間236万トンにも上るというフードロス。 そのうちおよそ25%は、外食産業によるもの。

こちらの店では少しでもフードロスを防ぐため、食べ残しを持ち帰るための容器を無料で提供している。

楓林閣 阿倍野店 郡山雄二店長:持って帰って家のお土産というのは増えましたね。(Q食べ残しが減ると店側も手間が減る?)ゴミ捨ても楽になるので片付けもスムーズになりますね。 

しかし、街で「持ち帰り」について聞いてみると、こんな声もあるようで・・?

街の人:お店の方から『ダメです』と言われたことがあるので。持ち歩くのにそこまで保存袋、保冷とかがないからと。 

街の人:大阪のおばちゃんだからズケズケ言います。 怒られても言う。一応言ってダメもとで。『これはちょっと無理なんです』と(店側から)言われて『あ、そう?』って。

■「中心部を75℃以上で加熱」厚労省が持ち帰りのガイドラインを初発表

そんな中、フードロスを削減しようと、10月、厚生労働省は「食べ残しの持ち帰り」に関するガイドラインの骨子案を初めて発表した。 ガイドラインで国が「持ち帰り可能として検討しやすいもの」として示したのが、パンやフライドチキン、焼き魚、ライス、焼き菓子など。 その際、基準としてあげたのが、「中心部を75℃以上で加熱していること」「時間がたっても微生物の増殖の影響が小さいこと」だ。

■鶏肉ボイルで実験 基準となる「75℃」でほぼ菌が抑えられる

番組では、食品の分析などを学ぶ日本分析化学専門学校を取材。 この基準が持つ意味とは何なのか。

日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長:75℃で(菌は)ほぼ抑えられているけれども、現実的に増えてきます。ただ繁殖したとしても、急激には増えてこない。

温度によって菌の繁殖の仕方がどのように変化するのか、実験してみることに。 異なる温度で鶏肉をボイルし・・ 「培地」と呼ばれる実験用の液体につけ、菌が繁殖しやすい環境にする。

およそ5時間後。鶏肉を取り出してみる。 見た目では明らかな違いはないが・・。

日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長:0.098。(菌の量を示す値)

菌の量を示す値を計測してみると、90℃と75℃で茹でたものは、比較的近い数字に。 一方、50℃の鶏肉の場合は・・。

日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長:0.978。1ケタ違います。

なんと、75℃で茹でたものの10倍もの数値を示した。

日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長:(菌が)2000個、4000個とポンポンと増えていく。50℃では菌をおさえきれていない。

また、意外と菌が増えやすい飲み物にも、注意が必要だということだ。

日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長:緑茶はカテキンがあって抗菌性が高い成分が入っています、菌は繁殖しにくい。麦茶とか、麦が原料になるので、糖分が入ってくるので意外と菌が繁殖しやすい。

■政府のガイドライン案に『ビュッフェ』や『ホテル』

また、政府のガイドライン案では…

記者リポート:対象施設のところを見ると『ビュッフェ』や『ホテル』などの文字が目立ちます。

「ホテル」での食べ残しをお持ち帰り!?

街の人:ホテルのバイキングとかはお持ち帰りなしですよ、ダメって断られますもん。

街の人:あったらちょっと嬉しいかも。食べきれない時とか取りすぎた時とか結構あるので。

■ホテルの高級ケーキをレスキュー!「ビュッフェ」の持ち帰りは安全面に課題

ホテルの現状を取材してみると・・。

ホテルグランヴィア大阪 阿部信治総支配人:現状は衛生面の安全第一を考えてお持ち帰りはご遠慮いただいている状況ではありますが、ティーラウンジでは、ショップで販売しているケーキを少しでも売れ残りを防ぐようなことを取り組んでおります。

ホテルグランヴィア大阪で取り入れていたのは、食べ残しではないが… 売れ残りそうな食品を”レスキューできる”「TABETE」というサービス。 登録した利用者は、普段なかなか食べられない1000円ほどするホテルの高級ケーキをなんと350円で購入、いや、レスキューできるのだ!

このほか、朝食で使用できなかった食材を「弁当にして販売」するホテルなどもあるが… 国が想定するのは、主に宴会などでの「ビュッフェスタイル」で残った物の持ち帰り。 この実現については、やはり壁もあるようだ。

ホテルグランヴィア大阪 阿部信治総支配人:大事なのは安全なのでお持ち帰りいただくもののある程度の限定であったり…(Q全部というわけにはいかない?)そうですね…しっかりとルールを検討していきたい。

専門家は「食べ残しの持ち帰り」が広がるには、消費者側の意識が重要になってくると話す。

日本女子大学家政学部 小林富雄教授:何かあってもまずは飲食店のせいにしないという、持ち帰る主体というのは飲食店ではないわけですから、消費者がどう行動するのかというそこに注目したガイドラインにすべき。

■世界では持ち帰りが当たり前の国もある

世界では持ち帰りが当たり前の国もあるようだ。

関西テレビ 神崎博報道デスク:私はマレーシアに住んでいましたが、レストランで食べ残しやちょっと量が多かった時は、『持ち帰ります』というと、店員さんが容器を持ってきてくれたり、中華圏のシンガポールや台湾へ行った時も中国語で『タオバオ』と言うと容器を持ってきてくれます。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:アメリカだとドギーバッグといって、(食べ物が)残ってたら、店側から容器持ってきてくれますよね。

■食品ロス減を狙って、賞味期限を延長

この他にも食品ロスを減らす取り組みが行われている。食品ロスを減らすために、消費期限を延ばす動きがある。

コンビニ大手のセブンイレブンは、手巻きおにぎり6商品の消費期限1日以内だったものを、24時間を超えるまでに延ばした。製造工程で新しい機械を導入したことで実現したそうだ。

同じく、大手コンビニ「ローソン」もおにぎり5商品を、これまで最大21時間だった消費期限を、27時間に延長。温度、湿度や衛生面を徹底管理することで実現したそうだ。

ダノンジャパンは、来年1月中旬出荷分から、ヨーグルト全5ブランドで賞味期限を、3日から9日延長して、42日間にするそうだ。 特に材料や製造方法に変更はしておらず、改めて試験を実施して安全を確認したそう。 企業側も食品ロスを削減する努力を行っている。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:『TABETE』という仕組みもいいですよね。 だから例えば、難しいかもしれないですけど、もう少しで時間切れになるところで、半額にしてくれるとかだったら、私、見切り品大好きなので。

ただ最後は自己責任となるため、しっかりと覚えておいて、消費者の意識を高めていくことも大切だ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月25日放送)

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