今回の衆院選をめぐっては、各政党や吉村知事のさまざまな思惑が交錯した。年明けに迫る知事選、そして来年夏の参院選と、今後迎える選挙に及ぼす影響とは。

今回の衆院選で大きく注目されたのが吉村知事の対応。
7月の大雨被害をめぐり、政府・与党に迅速な対応を促した「恩返し」としてこれまでで初めて、自民3候補の事務所を激励に訪れた。

(吉村知事)
「ますます遠藤先生の活動・行動、そしてさまざまな力がますます増していくように、私も心から期待し、できる限りのことを一緒にやっていきたい」

自民党県連の森谷仙一郎幹事長は、これまで県議会・選挙で対立する場面が多かった知事の訪問を次のように表現した。

(自民党県連・森谷仙一郎幹事長)
「歴史的にも大きな扉が開いたと思っている。私どもも大きく歓迎し、一緒になって県政を前に進めようという思い」

災害対応に加え、仮称・米沢トンネルの整備や山形空港の滑走路延長など県が推し進めるさまざまな事業。
吉村知事は、政府やJRとの強いパイプを持つ自民党の国会議員に頼らざるを得ない状況が増えている。

(自民党県連・森谷仙一郎幹事長)
「我々のこれまでの政治活動・要望活動、調査をした中において国会議員との関係を理解してもらった。よくわかってもらった。その中で一緒になって進むことができるだろうということ」

吉村知事は「県政を前に進めるため」と理由付けするが、互いの距離が近づいているのは明らかだ。

(吉村知事)
「オール山形で力を合わせてやっていかないといけない。そういう思いを遠藤先生の支援者のみなさまにも伝えたかった。(Q.知事選もあるが)そこはわかりません。まずはトンネルをしっかりと進めていきたい」

迫る知事選をめぐり、自民党県連の内部では独自候補の擁立を見送る可能性も浮上。
県連会長を務める遠藤氏は27日、県連の方針を明言せず、今後の判断に注目が集まる。

(自民党県連・遠藤利明会長)
「(Q.方針に変化は?)そこは森谷幹事長を始めみなさんと相談していく。(Q.結論はいつごろ?)まだ自分の選挙が終わったばかりで余裕がない。責任政党として政権を持ちこたえられるようにして、その上での判断したい」

(芳賀道也参院議員)
「みなさん、今の政治本当におかしいと思いませんか」

今回の選挙は、来年夏の参院選の前哨戦ともなった。
現在、県選挙区の2議席を非自民が独占する中、改選期を迎える無所属の芳賀道也議員、自民が擁立を決めた元県議・大内理加氏が精力的に活動。
議席の死守、そして奪還に向けて、ともに応援弁士としてかけ回った。

(大内理加氏)
「自公連立政権があってこそ、鈴木憲和代議士の力が発揮できる。そしてみなさまの地域が前に進む」

芳賀氏が初当選した2019年の参院選では、共産を含めた野党共闘が実現した。しかし今回、全ての小選挙区に共産が候補者を立て共闘体制が崩れた。
加えて、連合山形・立憲・国民の統一候補3人は、小選挙区で当選という結果を残すことはできなかった。

(石黒覚氏)
「残念ながら今回、金権腐敗した自民党の政治に、ここ山形県では残念ながら勝つことができなかった」

連合山形の舩山整会長は、今回の選挙戦で「2党1団体の連携は機能した」と強調した。
一方で…。

(連合山形・舩山整会長)
「自民党の組織は強大。野党がどれだけ勢力を結集できるかが大きな課題。政党間の考え方の違いは超えられなかったハードル」

(国民民主党県連・舟山康江会長)
「自公が過半数割れすれば、新たな野党連携の枠組みができてくると思う。そこを無視して山形で動くということにはならないと思うので、全体の動きを見極めながら、多くのみなさんと議論しながら今後の体制を考えていきたい」

野党側は、大きく変わった国政の勢力図の中で、来たる参院選の戦い方を模索していくことになる。

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