日傘を差して歩くひとたち=横浜市中区の山下公園で

 過去に例のない危険な暑さが予想された際に、熱中症などへの警戒を促す「熱中症特別警戒アラート」が新設され、24日から環境省と気象庁による運用が始まる。タイガー魔法瓶(大阪府門真市)が実施した調査では、このアラートについて「知らない」とした人が約6割に上った。近年は4月中でも高温になる可能性があり、同社は早めの熱中症対策を呼びかけている。

 従来の「熱中症警戒アラート」は、温度や湿度などをもとに推計した「暑さ指数」の予測値が都道府県内のいずれかの観測地点で33以上になった場合に「熱中症搬送者が大量に発生する恐れがある」として発表している。

 これに対し、新設の「熱中症特別警戒アラート」は、都道府県内の全地点で暑さ指数が35以上となり、「重大な健康被害が生じる恐れ」のある場合に発表されるもので、警戒アラートより一段上の位置づけだ。

 この熱中症特別警戒アラートを「知っているか」と尋ねたところ、「意味まで知っている」と答えたのは42・1%。「意味までは知らない」(38・4%)、「知らない」(19・5%)とする回答が計57・9%を占めた。調査をしたタイガー魔法瓶は「アラートの認知率としてはやや低い印象」と懸念を示している。

 実際に熱中症対策を始める時期を聞くと、「6月」と「7月」が計59・9%を占め、夏に入ってから対策するという人が半数超。「4月」と答えたのは2%とわずかだった。

 同社は調査結果の発表文の中で兵庫医科大学病院の医師、服部益治氏のコメントを紹介。服部氏は「4月から熱中症危険月は始まっている。日本は夏と冬の二季の国に変化してしまったと頭を切り替え、以前よりも徹底した暑さ対策が必要」と指摘する。

 服部氏は「発汗時の対策として、1時間ごとのこまめな水分補給が必要。塩分も補える100~200ミリリットルが目安」といい、軽い発汗であればスポーツドリンクを、アウトドアなど発汗量が多い際は経口補水液を飲むなど発汗量や体調に合わせた補給を呼びかけている。

 ちなみに「ステンレス製の水筒にスポーツドリンクや経口補水液を入れるのは良くない」ことについて、51・8%が「知らない」と答えた。タイガー魔法瓶は「塩分を含むため、一般的な金属製の水筒に入れるとサビや穴があくなど故障の原因になる恐れがある」と注意を促している。

 15~59歳の男女に3月にインターネットで調査。544人の回答をまとめた。【嶋田夕子】

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