無数の動物の姿を映したプラネタリウム。解説をしたのは、全盲の女性です。
彼女を突き動かしたのは、「見えない人にも星の世界を届けたい」という思いでした。
■失明した後、「視覚障害があっても楽しんでほしい」とプラネタリウムの解説をする女性
10日、大阪の天王寺動物園で開かれた、動物の星座を楽しむプラネタリウム。
【解説】「このオリオンの足元には、かわいいウサギがいます」
解説をしている女性に、この星は見えていません。
この日、動物園を訪れた、石川県に住む木下真由さん(49)。脳腫瘍が原因で、31歳のころから、徐々に目が見えなくなりました。
失明した後、視覚障害があってもプラネタリウムを楽しんでほしいと始めたのが、地元・石川県でのプラネタリウムの解説です。
しかし、能登半島地震で、星空を映す金属のドームがゆがみ、投影が不可能に。解説者としての仕事はできなくなりました。
■30分の講演の原稿を全て暗記 1日5時間練習したことも
木下さんのプラネタリウムを、「関西の人にも楽しんでほしい」と公演の依頼がありました。
【木下真由さん】「能登の震災があって、私の心もしゅんとなっちゃった、半年だったんですけど。目標ができて、前向いてやっていこうと思えた」
目の見えない木下さんは、30分の公演の原稿を、全て暗記しなければなりません。
1日5時間、練習した日もありました。
■星の位置は“時計の文字盤”で説明 視覚障害がある観客は「とてもよく理解できた」
迎えたおよそ1年ぶりの公演。一般社団法人「星つむぎの村」が協力し、移動式プラネタリウムが完成しました。
3回の公演で訪れたのは、視覚障害がある人など、およそ100人。
星の位置は、視覚障害がある人にも分かるよう、時計の文字盤を用いて説明します。
【木下真由さん】「頭上の10時の方向には、白鳥が姿を見せてくれています」
震災で諦めかけたプラネタリウム解説。目の前にいる視覚障害がある仲間への思いが溢れました。
【木下真由さん】「晴れた日も雨の日も、たとえ星空の星が見えなくても、あなたにとって、ずっとずっと輝き続けるでしょう」
【視覚障害がある観客】「時刻に合わせて方向をおっしゃってくださって、とてもよく理解することができましたし、逆にやっぱり自分の目で確認してみたいなという気持ちも、ちょっと欲が出てしまいました」
■たとえ見えなくても心の中で星は輝く
【木下真由さん】「ずっとできると思っていなかったので、とてもとても幸せでした。目が見える人も、見えない人もみんな、星っていいなって、きれいだなって、心で感じてもらえれば、そんなうれしいことないですよね」
「たとえ、見えなくても、心の中で星は輝く」
その思いを胸に、木下さんはこれからも輝きを届けます。
(関西テレビ「newsランナー」2024年11月11日放送)
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