らあめん梅屋の「モツらあめん」。いまや新庄市の名物の一つとなった=山形県新庄市千門町(柏崎幸三撮影)

「毎日食べても飽きないラーメンを目指した」

平成8年6月に山形県新庄市で開店した「らあめん梅屋」の店主、梅本孝一さん(78)はこう話す。次女の綾子さん(47)、長男の達也さん(44)の父子3人で始め、少しずつ常連客がつき、売り上げも増えていった。

常連客の一人に元市長の山尾順紀さんがおり、店を訪ねては「『とりもつラーメン』をつくってほしい」と懇願。新庄市の郷土料理に「とりもつ」があるが、これに昔ながらのあっさりしたラーメンが合体したのがとりもつラーメンだ。店によって、麺やスープ、モツの煮方に違いがあり、独自の味を競っている。

ラーメンにとりもつを丁寧にのせて最後の仕上げを行う「らあめん梅屋」の梅本達也さん(柏崎幸三撮影)

梅本さんは、後発ながらも「自分もつくろう」と、もつの味付けからスープ、麺を独自に研究。つくり上げたのが、らあめん梅屋の「モツらあめん」だ。いまでは来店客の注文の8割を占める。

平成11年12月には、山形新幹線が新庄駅まで延伸。地元の経済効果への期待が高まる中、新庄市から特色のあるものを発信しようと白羽の矢が立ったのが、とりもつラーメンだった。

梅本さんは、市内にあるとりもつラーメンの元祖「一茶庵支店」の店主、元木敏雄さんの了解を得て、当時のJR新庄駅長、佐々木俊倫さんと市内の飲食店を回り、「新庄・最上 愛をとりもつラーメンの会」を設立して普及に乗り出した。いまでは、とりもつラーメンを目当てに各地から客が新庄市を訪れている。

らあめん梅屋では、朝届いたレバー、砂肝、卵管、皮、ハツを新鮮なうちに湯がいて油を取り、しょうゆだけで煮込み、くせのない味に仕上げる。モツに苦手意識のある人もいるだろうが、ぜひ一度は試してみたい味に仕上がっている。ラーメン1杯分にニワトリ1羽分のモツを使うというから驚きだ。

しょうゆに野菜や豚骨、煮干し、昆布などを加えてつくった透明感あるスープを混ぜ、やわらかめにゆでた細麺にまとわせる。最後に鳥モツとネギを載せ、丼ぶりを客に差し出す。ひと口スープを飲むと、優しさが口の中に広がってくる。

「ラーメンには地域性があり、食べる側の好みも土地によって異なる。そうした中でも、とりもつを使ったラーメンというのは独特で、いまや新庄市の名物になったと思っている」

梅本さんはこう語る。まさに新庄市自慢の逸品だ。(柏崎幸三)


らあめん梅屋 山形県新庄市千門町3の16。「モツらあめん」は850円。他に「らあめん」(750円)、「ちゃあしゅうめん」(850円)、「ワカメらあめん」(800円)、「ピリ辛らあめん」(800円)、「ピリ辛ワカメらあめん」(850円)がある。営業時間は午前11時~午後2時半、午後5~午後7時半。定休日は毎週火曜日。【問】0233・22・3910。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。