ついに180円を超えました。政府のガソリンなどへの補助金が縮小され、1リットル当たり5円ほど値上げされました。私たちの暮らしを直撃しています。

 12月18日夜、営業終了後のガソリンスタンドで貼り替えられるガソリン価格。

 レギュラー1リットルが181円になりました。

 12月19日から政府の補助金が、段階的に縮小されたガソリン。

 店によって1リットルあたり5円ほど値上げされました。

 札幌中心部のガソリンスタンドでは、給油に来た人が180円台への突入に驚いていました。

 「高いと思います。180円を超えたのはあまり見た記憶がない」(利用客)

 「家計的に困るというか、簡単に車を使えなくなるのかな」(利用客)

 このガソリンスタンドは12月18日、値上げ前に給油しようと”駆け込み客”が多くいましたが…。

 「きのうよりお客様は間違いなく少ない感じがしています。2割くらいは少ないかなという感じはしています」(北海道エネルギー札幌大通SS 森浩治所長)

 北海道内でガソリン価格が180円台になったのは、過去2回。

 需要が高まった2008年と、ウクライナ侵攻や円安も加わった2023年です。

 しかし、補助金がさらに減る2025年1月以降は、最高値を更新する可能性があります。

 先週から集中的な大雪に見舞われた北海道岩見沢市。

 妻と2人で暮らすこちらの68歳の男性は、毎朝2時間30分、家の前の除雪に追われています。

 ただ、もう一つ大きな悩みが…。

 「(灯油を)できるだけ使わないように。家の中はあまり(暖房を)回さないようにしている。我慢しています」(岩見沢市民)

 灯油も補助金が減り12月19日から値上げとなりました。

 男性は温度設定を10度下げて、少しでも灯油を使わないよう節約しています。

 「(燃料代は)毎月十何万かかる。とても年金では無理(支払えない)なので、抑えて抑えてね」(岩見沢市民)

 この男性の灯油節約術は、もう一つありました。

 「お父さんの背中だけ温める感じで?」(八木隆太郎フィールドキャスター)

 「そうです。20分ぐらいしたら止めている」(岩見沢市民)

 男性は電気のパネルヒーターで背中だけ温めるという工夫で、寒さをしのいでいました。

 灯油の値上げにやきもきしているのは、農作物の生産現場も同じです。

 「本当に勘弁してほしい。どうにかしてほしいという気持ちがある」(知内町ニラ生産組合 坂本拓也さん)

 北海道一の生産量を誇る南部の知内町のニラ生産組合の坂本さん。

 特産のニラを一年中消費者に提供しようと、農業用ハウスではこの時期、灯油の暖房機がフル稼働しています。

 「昼間でも太陽が当たらないと、なかなか暖房機は止まってくれない。曇っていたら、一日中稼働している」(坂本さん)

 坂本さんが所有するハウスは4棟。1シーズンで80万円から100万円の灯油代がかかっています。

 今回の値上げは大打撃で、不安は尽きません。

 「(今後、灯油価格が)ちょっと耐えられないくらい上がるのではと思っている」(坂本さん)

 坂本さんは、このまま値上げが続けば、最悪の事態も起こりうると心配しています。

 「暖房費が耐えられないから辞めますとならないとは思うが、そういう農家が出てくるのは仕方ない」(坂本さん)

 道民の暮らしに欠かせないガソリンや灯油。

 北海道経済に詳しい専門家は、今回の値上げの影響を指摘しています。

 「製造業もサービスをしている人も物流を利用してるので、物流コストが上がると、幅広い業種に波及する」(北海道二十一世紀総合研究所 伊東基寛調査部長)

 多くの人が移動する年末年始。北海道ならではの影響も。

 「北海道の場合、車で帰省する人が多い。その距離が他県と比べると非常に長いので(家計の)痛手は大きいのではないか」(伊東調査部長)

 物価の高騰にさらに拍車をかける可能性がある補助金の減額…。家計に厳しい冬の到来です。

 道内のガソリン価格最高値がレギュラー1リットルあたり180円を超えたのは、2回。

 最高値は2008年で187.2円。世界的な需要の高まりで原油価格が高騰しました。

 もう一回は、2023年で184.3円。ロシアのウクライナ侵攻や円安も加わり高騰しました。ただ、これも政府から補助金が出ていて価格が抑制されていました。

 しかし、この補助金が段階的に減っていくと190円台に突入し、最高値を更新する可能性もでてきます。
 
 生活への影響も十分に考えられます。

 食料品では生産コストや輸送コストが上昇するため、市場関係者は価格を上げざるを得なくなると話します。

 さらに宅配便も値上げの可能性があり、ヤマト運輸、佐川急便によると「今は価格上昇の予定はないが、今後値上げの検討をせざるを得なくなる」と話しています。

 我慢の日々はまだ続きそうです。

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