9日午前8時20分ごろ、富士山の標高2000メートル付近で、水を含んだ雪が土砂とともに流れ下る「スラッシュ雪崩」が発生した。8日以降の大雨が影響したとみられる。国土交通省富士砂防事務所によると、雪と土砂は砂防施設で受け止められ、現時点で被害は確認されていないという。
スラッシュ雪崩は雨や急激な気温上昇によって大量の水分を含んだ雪が流れ出す現象。「雪代(ゆきしろ)」とも呼ばれ、土砂を巻き込みながら土石流となるケースがある。
富士砂防事務所によると、静岡と山梨の県境にある大沢川の標高2000メートル付近で、雪が流れ始めるのが確認された。雪と土砂は下流の遊砂地に流れ込んだ。
富士山では8日から雨が降り始め、付近の観測施設のデータでは9日午前8時20分ごろまでの雨量が88ミリに達した。同日午前9時までの1時間には23ミリの強い雨が降った。
低気圧や前線の影響で9日は東日本の太平洋側を中心に大雨となるところがあった。気象庁によると、静岡県伊豆市や神奈川県箱根町で1時間に30ミリ以上の激しい雨が降った。同庁が土砂災害などへの警戒を呼びかけていた。大雨の影響でスラッシュ雪崩が発生したとみられる。
富士砂防事務所は今後、流れ出た土砂の量などを調べる。
大沢川では2021年3月にもスラッシュ雪崩が発生。遊砂地に流れ込んだ土砂の量は観測開始以来、最も多い47万立方メートルだった。18年3月にも大雨の影響で大規模なスラッシュ雪崩が起きた。
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