脳障害がある男性に、自宅を売却する契約を不当に結ばさせたとして、遺族が不動産会社を訴えた裁判で、大阪地方裁判所は原告の訴えを認めました。

訴えなどによると、柳発秀さん(当時51歳)は、交通事故の後遺症で高次脳機能障害と診断され、記憶力や認知機能が低下し、おととし、自宅とは別の集合住宅で倒れているのが見つかり、その後、亡くなりました。

不審に思った遺族たちが調べると、亡くなる前日、自宅を売却する契約を、不動産会社と結んでいたことが分かりました。

発秀さんは当時、日常生活を送るのも厳しい状態で、遺族は、契約は無効として2150万円の損害賠償を求め、裁判を起こしていました。

30日の判決で、大阪地方裁判所は、契約に必要な印鑑登録証明が発行されていたことについて、「当時の発秀さんの状態では、不動産会社側がカードを持ち出したり、暗証番号を聞いたりするのは簡単だった」と指摘。

さらに、「契約翌日に亡くなったのに、遺品から契約書が見つかっておらず、死後契約書がつくられた」と判断し、遺族側の訴えを全面的に認め、会社側に2150万円の支払いを命じました。

【遺族・兄の柳南秀さん】「こちらが求めているような判決文を出していただいて、完全に勝訴という形で、非常に今回の判決に関しては納得しております」

遺族は今後、契約書を偽造した罪などでの刑事告発も検討しているということです。

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