犯罪被害者向けのリーフレットを作製し、大阪市内で記者会見した大阪教育大付属池田小乱入殺傷事件遺族の酒井智恵さん=大阪市天王寺区で2024年5月31日午後3時20分、中田敦子撮影

 大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で児童8人が殺害され、教員2人を含む15人が重軽傷を負った乱入殺傷事件から6月8日で23年を迎える。犯罪被害者向けのリーフレットを作製した遺族の酒井智恵さん(63)らは31日、大阪市内で記者会見し「報道の目的やメディアがどういう状況で取材に来るかについて、被害者が知るためのツールになれば」と期待を込めた。

 認定NPO法人「大阪被害者支援アドボカシーセンター」と共同で作製したリーフレットには、被害者が取材を受けるかどうかや時期を選べる権利があることを盛り込んだ。

 酒井さんは、事件直後にメディアスクラム(集団的過熱取材)に苦しめられた一方で、信頼できる記者との出会いなど報道の恩恵も感じてきた。

 リーフレットには、より正確な報道をさせることができる▽メディアが持つ情報を得ることができる▽被害者にとって必要なサポートをしてくれる人につながることができる▽被害者の思いや要望を社会に届けられる--といった取材を受ける四つのメリットも記載した。

 センターによると、事件や事故に遭遇した被害者には、早ければ数日後にも手元に届くようにする見込み。センターの井上尚美理事は「手渡すだけでなく、支援員が被害者に対し、しっかり説明することが大切だ」と話した。酒井さんは「取材を受けるか否かについて、被害者自身で選択できると伝えたい」と訴えた。【中田敦子】

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