東京・浅草の仲見世通りを歩く訪日外国人ら=2024年4月17日午後5時42分、三浦研吾撮影

 政府観光局(JNTO)が17日発表した2024年3月の訪日外国人客数(推計値)は308万1600人で、単月としてこれまで過去最高だった19年7月(299万人)を上回った。過去最高の更新は新型コロナウイルス禍を挟んで4年8カ月ぶり。300万人を超えたのは初めて。

 円安も背景に、1~3月の累計でも855万8100人と、1~3月として過去最高になった。年間の訪日客数が最も多かった19年の3188万人を超えるペースで推移している。

 3月の訪日客の国・地域別の上位は、韓国66万人▽台湾48万人▽中国45万人▽米国29万人▽香港23万人。多くがコロナ禍前の水準を回復しているが、中国からの訪日客は19年同月比65%にとどまっている。

 また、1~3月に日本を訪れた外国人の消費額は19年同期比52%増の1兆7505億円となり、四半期ベースで過去最高を更新した。1人当たりの旅行支出は推計20万9000円だった。

 政府は30年目標で、年間訪日客数6000万人、消費額15兆円を目指しているが、課題は山積している。外国人宿泊者数は東京、大阪、京都などの3大都市圏に集中しており、公共交通の混雑やマナー違反などのオーバーツーリズムも相次いでいる。一方、円安や海外の物価高などが響き、3月に海外へ出国した日本人数は約122万人で、19年同月比63%にとどまる。

 17日に開かれた政府の観光立国推進閣僚会議では、消費単価の高い外国人の地方への誘客を強化するために選定した全国11のモデル地域の取り組み事例などが報告された。岸田文雄首相は「持続可能な観光地域づくりを加速することが喫緊の課題だ。課題解決と観光業の発展に向け、関係省庁が連携して取り組んでほしい」と述べ、インバウンド(訪日外国人)戦略の推進を指示した。【佐久間一輝】

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