鹿児島県警本部=共同

警察庁は24日、不祥事が続いている鹿児島県警に対する特別監察を始めた。野川明輝本部長ら幹部らへの聞き取りに重点を置き、情報漏洩や逮捕者が相次いだ原因や組織風土の問題点について検証する。特別監察は記録が残る2011年以降で4件目。監察結果も踏まえ、県警は7月中にも再発防止策を取りまとめる。

24日午後、警察庁の片倉秀樹首席監察官ら3人が県警に入った。今回の監察は「特別監察」と呼ばれる。警察法施行令に基づく規則は「警察の能率的な運営またはその規律の保持のため必要があると認めるときに実施しなければならない」と定めている。

県警では前生活安全部長、本田尚志被告(60)が起訴された事件の波紋が広がっている。本田被告は枕崎署員の盗撮事件などに関する文書を外部に送付したとされる。野川本部長が捜査指揮せず「職員の犯罪行為を隠蔽しようとしていた」と訴えた。

野川本部長は隠蔽行為を否定。21日の記者会見では「前部長が私のところに報告や指揮うかがいにきた事実はない」と改めて強調した。県公安委員会も隠蔽した事実は見当たらないとの見解を公表した。

警察庁は既に野川本部長から事情を聴いた。聴取内容や必要な調査の結果、「客観的に見て本部長による隠蔽の指示はなかったことが明らか」としている。監察を通じて当時の詳しい経緯を改めて確認する。

一方、警察庁は21日、盗撮事件を巡り適切な確認や指示をせず、「捜査の基本に欠くところがあった」として野川本部長を長官訓戒処分とした。

県警への信頼は揺らいでおり、県議会ではより丁寧な説明を求める声も上がる。県の公安委も県警に対し、組織運営への懸念を早期に払拭することや、各幹部が部下と意思疎通を図り、組織として報告や相談がしやすい環境をつくることを求めている。

警察庁は24日、「一連の非違事案の原因分析と再発防止策の確実な実施が警察への信頼回復のため極めて重要だ。県警においてこれらの取り組みがスピード感をもって行われるよう、厳正な監察を実施する」とコメントした。

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