28日の静岡県内は線状降水帯が発生し大雨となりました。なぜ県内に発生したのか…小塚恵理子 気象予報士と天達武史 気象予報士が解説します。
小塚恵理子 気象予報士:
現在の雨雲レーダーから見ていきます。
静岡県内は28日午後になって止んでいる地域も出てきましたが、依然として静岡県の周辺には雨雲があり大きな雨雲の中にあると言えます。
雨は弱まっている所もありますが、この時間、西部や中部の山間部など局地的に強い雨が降っています。
危険度の分布を“”キキクルで確認
小塚恵理子 気象予報士:
続いて危険度の分布を気象庁のHP「キキクル」で見ていきます。
まず、土砂災害の危険分布ですが、雨の止んだ地域でも黄色の注意が必要な箇所が広い範囲で続いています。大雨によって地盤に多くの雨が含まれている状況です。浜名湖の東側には赤色の地域、警戒が必要な地域があります。
続いて浸水の危険度分布を見ていきます。こちら昼過ぎには一時、黒色の災害切迫という表示も出ていましたが、そのピーク時に比べると危険度は下がって来ている状況です。
続いて洪水の危険度分布 これは川の情報になります。ピーク時に比べれば川の水位は下がって来ているようですが、黄色の表示が沼津市や御殿場市などの河川にあります。この後の雨の降り方次第では状況は変わってきますので引き続き、危険度分布について注意していただきたいと思います。
小塚恵理子 気象予報士:
さて今回の大雨の要因を天気図で見ていきましょう。
その要因は梅雨前線です。梅雨前線が北上してきて東日本に停滞し、暖かく湿った空気が流れ込むことで西日本から東日本にかけて広い範囲で大雨となりました。
県内で線状降水帯が発生したのは、この暖かく湿った空気を運ぶ風が強まったタイミングでした。
小塚恵理子 気象予報士:
こちらは午前10時40分の風の様子と雨雲レーダーです。ちょうど西部に線状降水帯の発生情報が発表された時間帯のものです。
この時間、海側で南西の風が10m以上と非常に強まっていました。雨が降っていて、冷えている所に暖かい空気がぶつかって局地的な前線が発生しました。
この前線の上で次々と雨雲が発生し、風によって東の中部方面へ流れていったものと考えられます。
小塚恵理子 気象予報士:
続いて午前中の雨の降り方をレーダーで見ていきます。
午前9時頃から激しい雨が降っていたのですが、やがて雨雲が集中しはじめ西部で線状降水帯が発生し、その後、中部でも線状降水帯が発生しました。
小塚恵理子 気象予報士:
この降り方によって災害の危険度がどのように高まっていったのか、キキクルを見てみましょう。
線状降水帯の発生前から黄色や赤の表示で注意が必要でしたが、線状降水帯の発生によって赤や紫色の表示がどんどん増えていくのがわかります。
河川の状況もやはり線状降水帯が発生にすると、急激に赤や紫の表示が増え危険度が急激に高まっていきます。
天達武史 気象予報士:
そうですね、特に中小河川などは線状降水帯が発生すると数分で一気に水位が上がって
きます。人的被害は出ていないようですが、これから暗くなっていくと周りの状況が見にくくなります。雨の降り方によってはまだ水位が上昇して来ますので十分注意して下さい
小塚恵理子 気象予報士:
それではこの雨がこれからどうなるのかを見ていきましょう。
県内の雨はまだ続きそうです。雨が降らない地域もありますが、降る所では活発な雨雲がかかって、まだ激しく降る場所がありそうです。
全体的に雨雲は南に下がっていきますが、29日の昼頃はまだ静岡県の近い所を通って行きますのでその時間帯にかけてはまだ警戒が必要です。
雨量が多くなりましたので土砂災害には厳重な警戒を、そして、低い土地の浸水や河川の増水にも警戒を続けるようにしてください。
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