兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を配布し、懲戒処分を受けた県の前西播磨県民局長の男性職員が死亡した問題で、前県民局長が陳述書と疑惑に関連する斎藤氏の音声データを残していたことが16日、わかった。県議会の調査特別委員会(百条委員会)に向けて用意していたとみられ、遺族が12日、議会事務局に提出した。
関係者によると、陳述書は両面印刷でA4用紙5枚程度で、告発文書に記載した内容について県民局長が把握した経緯や詳細が記されている。遺族からのメールには、前県民局長の言葉として「死をもって抗議する」「百条委は最後までやり通してほしい」などと記されていた。
音声は1分ほどで、斎藤氏が出張先での会合で特産ワインについて「まだ飲んだことがない。折りをみてお願いします」と話すような内容だった。
斎藤氏は16日の記者会見で重ねて辞職を否定した。前回知事選で斎藤氏を推薦した自民党の兵庫県連会長の末松信介参院議員が、事実上辞職を求める発言をしたことについて「指摘は真摯に受け止めたい。よりよい県政をめざすのが私の責任だ」と述べた。
陳述書などについては「詳細や内容を承知していない。詳細がわかり次第、しかるべき場で回答したい」と述べるにとどめた。音声データを聞いた県議会関係者からは「社交辞令の範囲内だと思った」との受け止めも聞かれた。
県には斎藤氏に危害を加えるという趣旨の電話がかかってきているという。そのため、尼崎市内で16日に予定していた記者会見への参加と視察を取りやめた。
兵庫県政をめぐっては、片山安孝副知事が「県政停滞の責任をとる」として辞表を提出するなど混乱が続いている。
記者会見では、記者の一人が「丹波市内の施設を視察した際、木製のサイドテーブルを見て『知事室で使いたい』と発言し、持ち帰っているはずだ」と質問し、斎藤氏が確認する一幕があった。斎藤氏は庁舎内で使っている認識がなかったが、サイドテーブルは知事応接室で使われ、椅子は倉庫内に保管されていた。斎藤氏は「県産材利活用のPRのためだった」と述べた。
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