愛知県高浜市役所で男性(62)が刃物を振り回し、灯油のような液体をかぶり火を付けるなどして職員3人が負傷した事件で、事件直前に男性と職員が電話で税金の支払いを巡ってもめていたことが、市への取材で判明した。男性は電話口で激高し、電話をつないだまま庁舎1階の税務課窓口を訪れて事件を起こしたとみられる。
市によると、男性は数年前から市民税を滞納し、納税を巡り市とトラブルになっており、過去にも窓口に怒鳴り込んでくることがあった。今年3月に市は男性の預金を差し押さえ、毎月10万円の納税を約束させたが、男性は5万円に減額するよう求めていたという。
事件があった16日午後、男性から市に「納税できない」という趣旨の電話があり、市が客観的理由を求めたところ激高。通話したまま、特定の職員名を叫びながら窓口を訪れたという。その際、男性は灯油のような液体の入った500ミリリットルのペットボトル2本を首からぶら下げていた。
愛知県警碧南署によると、男性は刃物を振り回して自分の腹を刺し、液体をまいてライターで火を付けた。火は20分後に消し止められたが、制止しようとした職員3人が手や首に軽いけがをし、男性も全身にやけどを負い重傷。同署は建造物侵入容疑で男性を逮捕したが、治療のため釈放した。
吉岡初浩市長は「けが人が出てしまい大変遺憾。多くの住民が来庁するので制限を加えることはできないが、不測の事態に応じられる体制作りに努めたい」とコメントを出した。【田中理知、塚本紘平、荒木映美】
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