衣料品卸「プロルート丸光」(大阪市)を巡る金融商品取引法違反事件で、東京地裁は22日、同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた同社元社長の安田康一被告(62)に懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。

野村賢裁判長は「様々な名目を使い分けて粉飾が行われており、その態様は巧妙で悪質」と指摘。「投資家の有価証券市場の公正性への信頼を毀損し得た」とした。同法違反罪に問われた法人としての同社も併せて審理されていたが、会社更生法上の手続きを踏まえて判決期日が延期となった。

判決はプロルート社側がコンサルティング会社「ウェルスブラザーズ」(WB)代表、石山恵介被告(46)=同罪で起訴=らと共謀し、2021年3月期の連結決算について架空の売り上げを計上して虚偽の有価証券報告書を提出したと認めた。WB社はプロルート社と資本提携する筆頭株主だった。

実際は営業損失が約6900万円と赤字だったにもかかわらず、提出した有価証券報告書では営業利益が約6300万円と黒字に転換するなど、判決で認定された粉飾額は1億3000万円に上る。

安田元社長は公判で起訴内容を全面的に認めた。弁護側はプロルート社側が主導していないなどとして寛大な判決を求めていた。

事件を巡っては、石山代表やプロルート社前社長の森本裕文被告(44)らが金商法違反の罪で起訴された。

プロルート社は1951年に設立、88年に現在の商号に変更した。衣料品の卸売りを中心に事業展開。東証スタンダードに上場していたが、立件後の2023年12月に会社更生手続きの開始を申し立てた。24年1月に上場廃止となった。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。