高速鉄道「TGV」に遅れが発生し、モンパルナス駅のコンコースで案内板を見つめる乗客ら(26日、パリ)=中尾悠希撮影

【パリ=小川知世】フランス国鉄(SNCF)は26日、高速鉄道TGVに「鉄道網のまひを狙った大規模な攻撃」があったと発表した。列車に遅れや運休が発生し、80万人以上に影響する見込み。パリ五輪の開会式を26日夜に控えて、駅や複数の路線で混乱が広がった。

25日夜から26日未明にかけて「破壊行為」があり、西部や北部、東部とパリを結ぶ複数の路線で被害が発生した。ロンドンとパリなど欧州を結ぶ高速鉄道ユーロスターにも一部列車で運休や遅れが生じた。

AFP通信などによると、SNCFは鉄道施設を損傷させる目的で放火があったと説明した。線路沿いで火災が起き、ケーブルなどが切断されたという。

モンパルナス駅に停車している高速鉄道「TGV」(26日、パリ)=中尾悠希撮影
高速鉄道「TGV」に遅れが発生したことを知らせるモンパルナス駅の案内板(26日、パリ)=中尾悠希撮影

SNCFはX(旧ツイッター)で乗車予定を延期し、駅に向かわないように呼びかけた。一部の列車で在来線への乗り換えを案内しているが、復旧に時間がかかり、通常運転の再開は29日になる見込みという。

ユーロスターも乗客に対して26日の利用を控えるように勧告した。

五輪開会式を前に、仏国内はテロ阻止の厳戒態勢が敷かれていた。ベルグリット交通担当相はXで「組織的な悪意のある行為」と非難した。鉄道設備が損傷した付近で不審な車両などが目撃されたことも地元メディアに明らかにした。

TGVはパリと国内の主要都市を東西南北につなぐ大動脈で、一部の列車はドイツなど他国に乗り入れている。

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