東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長を巡る法務省内の協議文書の不開示決定を取り消した大阪地裁判決が確定したことを受け、訴訟の原告で神戸学院大の上脇博之教授は26日、対象の複数の文書が開示されたと明らかにした。

ただ対象文書は国家公務員の定年に関する一般論の記載が大半で、既に上脇教授に開示されたり国会で公開されたりしており、新たな内容を含むものはなかったという。

上脇教授は黒川氏の定年を延長した2020年1月の閣議決定前に、法務省内で協議した記録を不開示とした国の決定は違法と提訴した。

今年6月27日の地裁判決は、閣議決定が黒川氏の退官予定のわずか7日前で、定年延長が全国の検察官に周知されていなかったことなどから、定年に関わる国家公務員法の解釈変更は「黒川氏の定年延長が目的と考えざるを得ない」と指摘した。国側は控訴せず確定した。

開示を受け、上脇教授は「国はまだ文書を隠しているのではないかと思ってしまう。控訴しなかったのであれば、黒川氏のために解釈変更したと認めるべきだ」と話した。〔共同〕

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