1945年8月6日に原爆が投下された広島で奇跡的に焼け残った「被爆ピアノ」を演奏するコンサートが13日、岐阜市議会の議場で開かれた。傍聴席には市民ら約60人が訪れ、原爆の痕跡が残るピアノが奏でる音色に聴き入った。
戦没者を追悼するとともに、市議会への関心を高めてもらおうと、市議会文化議員連盟(辻孝子会長)が企画した。市議36人と柴橋正直市長ら市幹部も顔をそろえた。
被爆したピアノを修復し、各地で演奏会をしている広島市の調律師、矢川光則さん(72)がピアノについて説明。「来年は戦後80年。改めて平和の尊さを考えるきっかけにしてほしい」と呼びかけた。
ピアノは1932(昭和7)年に製造され、爆心地から1・8キロの広島市中区で被爆した。持ち主の名前から「ミサコのピアノ」と呼ばれ、爆風でガラスの破片が突き刺さった傷が多く残る。
コンサートは議場中央にピアノが置かれ、ピアニストの佐藤奈菜さんらがジョン・レノンの「イマジン」や映画「ひまわり」のテーマ曲などを演奏した。佐藤さんは「力強く、やさしい響きを感じました」と笑顔を見せた。
79年前の岐阜空襲を体験した岐阜市本荘の桑原栄子さん(85)は「しっかりした音で、古さを感じませんでした。当時のことを思い出し、平和のありがたさが身にしみました」と話した。【稲垣洋介】
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