福岡市動物園は27日、7月にミャンマーから受け入れたアジアゾウ4頭のうち子ゾウ(雌、3歳)が、ゾウの運動場の柵をすり抜け、来園者側エリアに出たと発表した。子ゾウは一時、柵の外の高台となっている部分を歩き回り、来園者が利用する通路のすぐ近くまで移動していた。来園者と接触したり、子ゾウが高台から転落したりする危険性もあり、「あわや大惨事」の事態となっていた。
園によると、子ゾウが柵の外に出たのが確認されたのは、8月18、20、23日の3回。18、20日は飼育員らが気付いてすぐに連れ戻したが、23日は飼育員らが近くにいない間に、柵から出て通路近くまで移動した。
子ゾウは柵となっている、支柱と支柱の間に架かる3本のワイヤの隙間(すきま)(高さ約66センチ)から脱走。体高170センチの子ゾウがすり抜けるのは「想定外の事態」(川越浩平園長)で、26日までに隙間を鎖でふさぐ暫定措置を取ったという。園は27日、「来園者を含め、関係者の皆様にご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げる」とのコメントを出した。
23日午後1時ごろに「脱走劇」を見た来園者の女性は「4頭のうち子ゾウだけが離れた場所で鼻を回して遊んでいるので不思議に思った」と振り返る。すぐ近くは崖となっていて、真下は来園者が利用する通路。足を踏み外せば転落しそうな状況だったという。子ゾウは自分で柵の間から敷地内に戻ったため脱走は数分間で終わったとみられ、現場で混乱はなかった。女性は「けががなくてよかった」と胸をなで下ろした。
4頭は7月30日に来園し、市が約19億円かけて整備したゾウ舎で慣らし飼育中。10月にも一般公開される予定だが、園内の高台などからゾウが運動場などで遊んでいる様子を見ることもできる。【竹林静】
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