由布岳パーキングエリア付近で発生した土砂崩れ(30日、大分県由布市)=大分県提供

台風10号が横断した九州では30日、前日に臨時休業や時短営業した小売店の再開が相次いだ。イオン九州などのスーパーは順次営業を再開した。一方で大分県内で浸水被害や高速道路上の土砂崩れが発生するなど、台風の爪痕も残った。

イオン九州では、総合スーパーや食品スーパーなど約280店舗で順次営業を再開した。一部では臨時休業した店舗もあった。

イズミはグループ全体の九州内159店舗のうち、ショッピングモールのゆめタウン別府(大分県別府市)など7店舗を臨時休業とした。残りの店舗は通常通りまたは開店時間を正午などに遅らせて営業した。担当者は「台風による店舗の被害や従業員のけがの報告は出ていない」と話す。

岩田屋三越(福岡市)は29日に続き30日も福岡市と福岡県久留米市内の百貨店全3店舗を臨時休業としたが、31日は通常通り午前10時から営業する。

福岡市地下鉄の運転再開後、天神の地下道を行き交う人たち(30日、福岡市中央区)

鹿児島市では商業施設のアミュプラザ鹿児島や百貨店の山形屋、Misumiが運営するオプシアミスミなどが30日午前10時から通常営業に戻った。同市のセンテラス天文館は正午から営業を始めた。鹿児島市営バスや市電も運行を順次再開した。

宮崎県では29日に臨時休業した宮崎山形屋(宮崎市)などが通常通り営業を再開した。宮崎交通によると、県北地区を除き、一般路線バスは30日午後から順次運行を再開している。

佐賀市の百貨店、佐賀玉屋も午前10時半に営業を始めた。29日は臨時休業したが、佐賀市内で暴風雨が収束しつつあり営業再開を決めた。佐賀市営バスは30日、始発から全路線で運行を見合わせていたが、午後2時から順次運行を再開した。

熊本市では、中心部にある鶴屋百貨店や、熊本駅前の商業施設アミュプラザくまもとが31日から営業を再開する見込みだ。

金融機関も29日に臨時休業した店舗を再開させる動きが相次いだ。西日本シティ銀行は30日、前日に休業した田島支店(福岡市)を午後2時から営業再開した。九州フィナンシャルグループ(FG)傘下の肥後銀行では宮地支店(熊本県阿蘇市)など一部店舗で営業開始時間を通常より1時間遅い午前10時としたが、大半の店舗は通常通り再開した。

店舗が再開する一方、被害状況も判明してきた。大分県では佐伯市や国東市などで多数の建物への浸水被害が確認された。

西日本高速道路(NEXCO西日本)によると、大分県由布市の大分自動車道由布岳パーキングエリア付近で土砂崩れが発生した。上下線が100メートル以上にわたって土砂で覆われているという。事前に通行止めとしていたため人的被害は確認されていないが、復旧のめどは立っていない。

工場やインフラも完全復旧には至っていない。トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は9月2日午後2時30分まで同県内3工場の稼働を停止することを決めた。2日夕方以降の稼働については同日午前中にも判断する方針だ。

九州電力によると30日午後5時時点で、鹿児島県を中心に九州全域で約7万5000戸がなお停電している。完全復旧のめどは立っていないが、九電や九州電力送配電、協力会社の計6500人体制で順次、現場確認や復旧に当たっている。

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