“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われた元妻の須藤早貴被告。
事件とは別の男性から現金をだまし取ったとされる裁判で、懲役3年6カ月の判決が言い渡されました。
この裁判の中で見えてきた須藤被告の人物像について振り返ります。
■できるだけ多くの金を得たい…金への執着心 被害男性に対し「私が詐欺師なら被害者は性犯罪者」
この記事の画像(7枚)裁判長:懲役3年6カ月とする。
判決を言い渡された時、じっと裁判長を見つめていた須藤早貴被告(28)。
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家で、元夫の野崎幸助さん(当時77)を殺害した罪でも起訴されているが、今回は別の男性に対する詐欺罪についての判決だ。
当時19歳だった須藤被告は、「海外留学の準備金が必要」などと偽り、男性から3回にわたり現金およそ3000万円をだまし取った罪に問われている。
初公判で起訴内容を否認した須藤被告。 裁判の中では…
須藤早貴被告:私は実際にあったことを“盛って”うそをつきました。留学する意識も伝えていたが、金額は信じていなかったと思う。
うそをついたことを認めたうえで、「被害者もうそと分かって金を払っていた」として、詐欺罪は成立しないと主張していた。
そして、裁判を通じて見えてきたのは…金への執着。
3000万円のうち、留学の準備金として偽り要求した1500万円という金額については、「被害者が資産家だと思っていたので、自分で考えた相当な額を伝えた」と証言。
できるだけ多くの金を得ようとしていたとうかがえる。
さらに…
須藤早貴被告:私が詐欺師なら被害者は性犯罪者だと思っています。
金を受け取るたびに体を触られたり、キスをされたりしたと主張していた須藤被告。
そうした性的な行為についても…
須藤早貴被告:10万円もらっているし、まあいいか…くらいに思っていた。
一方、被害者の男性はキスを頬にしたことや、服の上から胸を触ったことが1回あることを認めたうえで、性的な目的で金を出したわけではなく、「うそだと分かっていたら払っていなかった」と反論。
検察側は「信じていた人に裏切られる、男性の精神的負担も重大で巧妙な犯行」として懲役4年6カ月を求刑した。
■詐欺罪で懲役3年6カ月の実刑判決 10日後には元夫・野崎さんが殺害された事件の裁判始まる
迎えた2日の判決。 和歌山地裁の判断は…
裁判長:(被害者には)好みの女性の歓心を得たいという気持ちもあったと考えられるが、大金をだまし取る行為を軽く見ることはできない。
詐欺罪の成立を認めた上で、須藤被告に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。
9月12日には、野崎さんが殺害された事件についての裁判も始まる。
須藤被告の口から何が語られるのか。
判決の様子について、法廷内で取材した樋口記者に伝えてもらう。
■9月12日には殺人罪での初公判
樋口諒記者:殺人罪については、今日も裁判の争点などを明確にする公判前整理手続きが1時間ほど行われました。しかし、こちらには須藤被告は出席していなかったということです。また、須藤被告は逮捕されてから殺人の容疑を否認して、その後は事件について供述していません。
事件について、野崎さんが死亡する直前に、自宅で2人きりだったことや、田辺市内で須藤被告が覚醒剤の密売人と接触したとみられることなど、これまで状況証拠が積み重なっている状態です。そんな中、検察は須藤被告が何らかの方法で覚醒剤を口から摂取させたとして、有罪が立証できると判断しています。
(Q:この殺人罪の裁判、どんな点に注目しているか?)
樋口諒記者:殺人罪について、取り調べの中で、ほとんど何も話していないということです。ただ今回の詐欺罪の裁判の中で印象的だったのが、金への執着を伺わせるような内容、自身の考えをはっきりと主張しているということでした。殺人罪についてこれまで何も語られてはいませんが、これから始まる裁判です。須藤被告の口から何が語られるのか注目されます。
(関西テレビ「newsランナー」2024年9月2日放送)
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