[反ヘイト]
自民党の杉田水脈衆院議員が6日、那覇市内で講演し、差別根絶に取り組む沖縄、アイヌ民族、在日コリアン、被差別部落などの人々を総称して「反日の左翼がどれだけ力を持っていて、どれだけ面倒くさいか」と述べた。差別問題で被害者側に非があるかのような誤った発言で、差別を根絶すべき国会議員の責務に反する。杉田氏は7日、講演内容に関する本紙の取材に応じなかった。
メディアに非公開とした講演の中で、杉田氏は差別に反対するさまざまな人々が「みんなつながっている」と繰り返し主張した。「相関図が頭に入っていたのは安倍(晋三)首相。今、自民党の中で脅威が分かっているのは私くらいではないか」と語った。
「アイヌ民族が『差別されている』と発信すると、ロシアに日本へ攻め込む口実を与える。琉球がことさら『差別されている』と言うことは、中国を利する」とも述べた。
龍谷大・松島教授が批判 「標的をつくり、追い詰めようとしている」
一連の発言に関し、龍谷大学の松島泰勝教授は「琉球人が差別されているのは事実で、反対するのは当然。どこを利するかという問題ではない」と指摘。「杉田氏は公人としてまず差別をやめるべきなのに、被害者を『反日』『左翼』と呼んでネット右翼の標的をつくり、追い詰めようとしている」と批判した。
杉田氏は2018年、松島教授の琉球独立研究に対する疑問を八重山日報に寄稿。松島教授によると、所属する琉球民族独立総合研究学会が抗議文を送ったものの回答はないという。杉田氏は6日の講演でも寄稿と同様の主張をした。
講演では、今後の政治活動について「衆院は、もう私は出られないと思っている。来年の参院選に全国比例で出たい」との意向も示した。杉田氏は当選3回で、自民党から立候補した直近2回の衆院選は比例代表名簿の上位に置かれていた。
(編集委員・阿部岳)
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