コロナ禍などの影響で廃業した北海道旭川市の銭湯が1年半ぶりに復活しました。その裏には若者たちの奮闘がありました。
銭湯「菊の湯」1年半ぶりに復活
久しぶりの湯を存分に楽しむお客さん。復活した旭川の銭湯「菊の湯」です。
約60年前に開業した菊の湯。2代目の熊谷清志さん(70)が湯船を守り、地域の大切な居場所として親しまれてきましたが、コロナ禍や燃料費の高騰で2023年3月、惜しまれながら廃業しました。
若者たちが挑む銭湯の復活
そんな地域の憩いの場を復活させたい。経営を引き継いだのは京都を中心に銭湯文化を発信するFRO CLUBです。若者たちが立ち上がりました。
まだ雪が残る3月、湯船を掃除していたのは山村修吾さん(31)です。「菊の湯」復活のため、京都からやって来ました。
「誰でも来やすいお風呂にしたいですね。旭川を盛り上げるのに、もっと頑張らんとダメかなと思ってるんで」(菊の湯 山村修吾さん)
そんな思いに共感し、6月にメンバーに加わったのは地元・旭川出身の川口遥斗さん(26)です。リーダーとして現場をまとめています。
「(みんなをまとめるのは)めっちゃ難しいですね。本当に大変です。家に帰っても菊の湯のことで頭がいっぱいです」(菊の湯 川口遥斗さん)
設備の老朽化も…
復活への道は平たんではありません。この日、熊谷さんが気づいたのが…
「タンクの横が水漏れしたもんだから、前に溶接もしてもらったんだけれども、ステンレス自体が痛んでいて、溶接ができないと言われて。(交換したら)100万円くらいは掛かるんじゃないか」(菊の湯 先代店主 熊谷清志さん)
お湯をためるタンクからの水漏れ。直さなければ湯船にお湯を張ることができないため、費用などを考え自分たちで防止剤を塗って修理しました。さらに…
「今回ロウリュするサウナなんで、昔と今で法律が結構変わっていて、排水溝を作らなきゃいけない」(菊の湯 川口さん)
新たな目玉「ロウリュ付きサウナ」
新「菊の湯」の目玉の一つは「サウナ」。火で温めて室温を高くするこれまでのものから、水蒸気で加熱するロウリュ付きのサウナに変わります。対応に追われていましたが、熊谷さんを中心に急ピッチで業者を探し、何とか予定内に工事を終えました。
「(来てくれた人の)顔見て、『よかった』と言ってくれたら一番いいよね。気持ちよかったと言ってくれれば(うれしい)」(菊の湯 先代店主 熊谷さん)
オープンを心待ちにする地元のファン
オープンが迫る中、うれしい出来事もありました。
「電気ついたもんですから2人でよろこんで、わーって来たんですよ」(菊の湯に来た客)
菊の湯の近くに住む遠藤とみ子さん。オープンを心待ちにするファンの1人です。
「ここから(菊の湯が)見えるの。8月に菊の湯の看板の電気ついたっていうから、本当だって」(菊の湯の常連 遠藤とみ子さん)
「(この1年半は)長かった。1~2回、自分のところで沸かして入るけどね、あずましくないの、狭いから」(菊の湯の常連 遠藤さん)
夫婦で40年以上通っていた遠藤さん。復活を心からよろこんでいました。
そして9月8日、1年半ぶりに菊の湯ののぼりが…。
「(客が)いっぱい来てくれるのが楽しみ。『いいお風呂だった』っていう言葉をもらえれば最高です」(菊の湯 川口さん)
9月9日のオープン、長い行列ができていました。
人気レゲエグループ「湘南乃風」の若旦那さんも応援に
「ここまでの道のりはすごい長かったんですけど、どんどん良い銭湯にしていきたいので、末永くよろしくお願いします」(FRO CLUB 塩路道徳さん)
1年半ぶりに復活した「憩いの場」。新たなサウナも完成しました。
「楽しみにしていた。近所なので毎日でも来たい」
「最高です」
「待ってましたオープンを」(いずれも客)
そしてオープンに合わせ、塩路さんの友人で人気レゲエグループ「湘南乃風」の若旦那さんも応援に。
「最高の温度で水質もやわらかくてサウナも良い温度だったので風呂を知っているなという銭湯でした。ここはまた新たな銭湯の聖地になるのでは」(湘南乃風の若旦那さん)
熊谷さんから若者に託されたバトン。
「うれしい。今までやむなく閉店して1年半休んでいたから、客も寂しい思いをしただろうし。若い人たちがまた客を招き入れているのを見ると良かったなと思うし、これをずっと続けてほしいと思う」(菊の湯 先代店主 熊谷さん)
「近隣住民や色々な世代の方々に愛される銭湯になっていけばと思う。イベントなどで菊の湯 地元を盛り上げていけたら」(菊の湯 川口さん)
「菊の湯」の新たな歩みが始まりました。
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