日本製鉄は11日、米鉄鋼大手USスチールの買収に関する森高弘副会長と全米鉄鋼労働組合(USW)のデビッド・マッコール委員長らの間で交わされた書簡やメールを公開した。マッコール氏は4月時点で「買収の致命的な問題は解決できない」との見解を示していた。森氏は翻意を促すため、何度も面談を求めたが断られていた。
日鉄は3月下旬に雇用維持などUSWの要求に応える協定案を送付したが、マッコール氏は4月上旬の書簡で「空約束だ」などと批判した。森氏はメールで直接面会を求めたが、マッコール氏は「率直に言って会談で買収の致命的な問題は解決できないだろう」と断った。
マッコール氏は、バイデン米大統領や米連邦議会が買収に慎重姿勢を示し、外国企業の対米投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が必要と説明。「この買収が承認されるとは思えない。USスチールと日鉄が現実を認識し、取引を断念すると思っていた」と述べていた。
日鉄は書簡を公開した理由について、「USWとのコミュニケーションや我々の提案が世間に誤解されているため公開した。日本製鉄の誠実な取り組みが分かってもらえると思う」と説明した。【ワシントン大久保渉】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。