兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会(定数86)の全会派・議員が19日に知事の不信任決議案を共同提出することで足並みがそろった。可決されるのは確実な見通しで、斎藤知事は辞職か議会解散の選択を迫られる。
不信任決議は地方自治法178条に定められている。不信任案の可決には議員の3分の2以上が出席し、そのうち4分の3以上の賛成が必要となる。不信任の通知を受けた首長は10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。議会を解散した場合は40日以内に議員選が実施される。改選後初の議会で再び不信任決議を受けると、首長は失職する。
総務省によると、過去に都道府県知事に対する不信任案が可決された例は岐阜県(1976年)、長野県(2002年)、徳島県(03年)、宮崎県(06年)の4件。岐阜と宮崎の知事は辞職を選択し、長野と徳島の知事は失職した。
岐阜県は平野三郎知事(当時)が収賄容疑で書類送検され、不信任案の可決後、即日辞職した。長野県では「脱ダム宣言」を打ち出した田中康夫知事(同)が議会と対立し、不信任案が可決された。田中氏は失職を選び、出直し選挙で再選した。
徳島県は大田正知事(同)が掲げた大型公共事業の見直しなどに議会が猛反発。不信任案が可決されて失職した。大田氏は田中氏同様、失職して出直し選挙に臨んだが、落選した。宮崎県でも官製談合事件で県幹部が逮捕され、議会が安藤忠恕知事(同)の不信任案を可決。安藤氏は辞職し、逮捕された。その後の知事選で東国原英夫氏が初当選を果たした。
不信任案の可決が確定的となった段階で辞職したケースもある。
青森県の木村守男知事(同)は03年、「セクハラ不倫疑惑」を追及され、辞職勧告決議案が可決された。木村氏は辞職を拒み不信任案が出されたが否決された。その後の統一地方選で議会構成が変わって不信任案可決が必至となり、辞職に追い込まれた。
東京都の舛添要一知事(同)は16年、政治資金支出などを巡る公私混同問題で、都議会全7会派が本会議への不信任案の提出を決め、可決が確実になったことなどを受け、辞職した。【砂押健太】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。